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まだ間に合う!経費計上のチェックリスト【個人事業主向け】

まだ間に合う!経費計上のチェックリスト【個人事業主向け】

はじめに

「これ、経費に入れてよかったんだ…!」

確定申告の時期になると、毎年のようにそんな声を聞きます。

この記事では、見落としがちな経費をチェックリスト形式でわかりやすく整理し、国税庁のガイドラインに基づいた解説も交えて紹介します。

1. 経費にできる条件とは?

国税庁によると、必要経費とは「その年における総収入金額を得るために直接要した費用をいう」と定義されています。(出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」

つまり、「事業に関連する支出」であることが経費になる条件です。

2. 見落としがちな経費チェックリスト

経費項目内容
通信費スマホ・Wi-Fi・クラウドストレージ等
交通費電車・ガソリン代・駐車場等
水道光熱費自宅兼事務所の場合、按分計上
会議費・交際費打合せでの飲食・参加者記録が必要
消耗品費文房具、プリンターインクなど
減価償却費10万円以上の備品(PC、カメラ等)
租税公課個人事業税・印紙税など(所得税除く)
支払手数料振込手数料・決済代行サービス等
雑費分類しにくいが事業関連の出費

3. 経費整理のコツ

1. レシート・領収書は必ず保存

レシートや領収書は、経費として認めてもらうための大切な証拠資料です。特に青色申告の場合は7年間の保存義務があるので、必ず保管しておきましょう。保存方法は紙のままでもOKですが、電子帳簿保存法の改正により、スマホで撮影してデータ保存する方法も認められるようになっています。さらに、用途や取引相手、使った理由をレシートの裏やメモアプリなどに書き残しておくと、税務調査時にも安心です。

2. 会計ソフトの活用

経費整理を効率化するなら、クラウド会計ソフトの活用がおすすめです。freee、弥生、マネーフォワードといったサービスは、スマホでレシートを撮影するだけで自動仕訳ができる機能もあり、経費漏れ防止に役立ちます。また、これらのソフトは電子帳簿保存法にも対応しているため、データ保存・管理の負担も軽減されます。さらに、銀行口座やクレジットカードと連携することで、取引データを自動で取り込み、仕訳作業を大幅に省力化できます。

3. 按分ルールの設定

自宅兼事務所で仕事をしている場合や、プライベートと事業の支出が混在している場合は、按分(あんぶん)のルールを決めることが大切です。按分とは、事業に使用した割合だけを経費にする考え方です。例えば、自宅の家賃や光熱費については、仕事部屋の面積割合や仕事に使っている時間割合を目安にします。合理的で一貫性のある基準を決め、継続的に適用することが重要です。

私の事務所は自宅兼事務所にしていますが、自分の執務で使うスペースをメジャーで測って、賃貸契約を結ぶ際にいただいた間取り図に記載の平米数で割って家賃を計上しています。

4. 今からでもできる経費の洗い出し

申告期限が近づいてきたときでも、次のようなポイントを確認することで、まだ間に合う経費の掘り起こしができます。普段からしっかりと記帳や領収書管理をしていればベストですが、忙しい個人事業主の方は、意外と後回しにしてしまっていることも多いのが実情です。そこで、直前でも効果的に経費を探し出す具体的な方法を紹介します。

  • 通帳・クレジットカード明細の確認: 事業用口座だけでなく、プライベート口座の中にも経費にできる支出がないかチェックします。特にAmazonや楽天などのネットショッピングは、プライベートと事業用の支出が混ざっていることが多いので注意が必要です。明細から過去1年分を見直すことで、意外な経費の発見につながるケースもあります。
    (個人事業主でも事業用の口座を開設することをおすすめします。私もお客様には個人事業主であったとしても事業用の口座を作るようにお願いしています。)
  • Amazon・楽天の購入履歴チェック: パソコン周辺機器や文房具、書籍、セミナー代など、事業関連の購入品がある場合は忘れずに計上しましょう。購入履歴は、各サイトのアカウントページから簡単に確認できます。領収書の発行も可能な場合が多いため、印刷やPDF保存しておくと便利です。
  • LINE・カレンダーで過去の打合せ・出張記録の確認: 交通費や飲食代、宿泊費などの経費は、打合せや出張のスケジュールを振り返ることで拾い出すことができます。日々の予定をカレンダーアプリで管理している人は、そこから移動や会食にかかった費用を確認するのが効果的です。さらに、LINEやメールの履歴から打合せの場所や日時を特定し、関連する支出を洗い出すこともできます。
  • レシートや領収書の再確認: 財布や鞄、デスク周りに残っているレシートや領収書はないか、改めて確認してみましょう。思わぬところから経費対象のレシートが見つかることもあります。特に、カフェ代や交通費、文房具など小さな支出は漏れやすいので、しっかりチェックすることが大切です。

5. よくある質問(Q&A)

Q. レシートがない支出は経費にできない?

A. 原則として、領収書やレシートは経費計上の大切な証拠資料となるため、保存が必要とされています。特に税務調査の際には、支出の正当性を証明する手段として重要視されます。しかし、やむを得ない事情(紛失、レシートが発行されない自販機や一部の屋台など)の場合は、出金伝票や日付・金額・支出内容を具体的に記載したメモや記録で代用することが可能とされています。たとえば、「2024年5月15日 渋谷駅前自販機 コーヒー代 150円」などのように、できる限り詳細に記録を残すことがポイントです。また、スマホの決済履歴や銀行明細など、支払いの証拠になるものがあれば合わせて保存すると安心です。こうした記録は、帳簿に反映させるだけでなく、実際の保存書類として整理しておくことをおすすめします。

Q. 家賃や水道光熱費はどのくらい経費にできる?

A. 自宅兼事務所の場合、家賃や水道光熱費の全額を経費にすることはできませんが、業務で使用している部分に限って按分(あんぶん)計算し、経費計上が可能です。按分割合の決め方は、国税庁のガイドラインでも示されているとおり「面積」や「使用時間」など、合理的な基準を用いることが求められています。たとえば、仕事専用の部屋が自宅全体の20%を占めている場合、その割合をもとに家賃や光熱費を経費にできます。さらに、生活空間と業務空間が混在している場合は、使用時間を加味して割合を決定する方法もあります。税務署からの指摘を避けるためには、どのように按分割合を算出したか、簡単なメモや計算根拠を残しておくことが望ましいです。

Q. 1年分まとめて経費にしてもいいの?

A. はい、その年に支払った費用であれば、1年分をまとめて経費に計上することは問題ありません。例えば、レシートや領収書を溜め込んでいても、年度内の支出であれば、確定申告時にまとめて仕訳して処理することが可能です。ただし、注意点としては、支払った時期や内容、金額がわかる領収書や明細があることが前提条件です。特に家賃や水道光熱費のような定期的な支払いは、月ごとに処理する方が望ましいですが、どうしてもまとめて処理する場合は、支払いの根拠となる資料(契約書や明細書)をセットで保存しておきましょう。税務調査では「いつ、何に、いくら使ったか」が説明できることが大切なので、整理整頓と記録の徹底を心がけましょう。

6. まとめ

経費は事業の実態に即した正確な申告が求められます。「これは経費にできないかも」と思い込んでしまう前に、一つひとつチェックして確認することが大切です。今回紹介したチェックリストや洗い出し方法を活用して、無理なく漏れのない経費計上を目指しましょう。最終的には「記録・保存・根拠」が経費計上の鉄則です。今からでも遅くないので、ぜひ取り組んでみてください。