「入社してすぐ経費精算を頼まれたけど、何が経費になるのかわからない…」

「上司に仕訳を確認してと言われたけど、仕訳って何?」

新社会人がこんな場面に直面することは珍しくありません。

実はこれらの悩み、簿記3級の知識があればほぼ解決できます。

この記事では、公認会計士として監査実務に携わってきた立場から、新社会人が実際に直面する経費精算・仕訳の場面と、簿記3級がどう役立つかを具体的に解説します。

1. 新社会人が最初につまずく「経費精算」とは

入社してすぐに経験する業務のひとつが経費精算です。出張交通費・接待費・消耗品の購入など、業務で使ったお金を会社に請求する手続きです。

一見シンプルに見えますが、実際には以下のような疑問が次々と出てきます。

  • このランチ代は経費になる?接待費?それとも自腹?
  • 領収書の宛名は会社名?個人名?
  • 交通費は実費?それとも定期代との差額?
  • 勘定科目って何を選べばいい?

これらは全て、簿記の基礎知識があれば迷わず判断できるようになります。

2. 「勘定科目」を知るだけで仕事がスムーズになる

経費精算で必ず出てくるのが「勘定科目」です。勘定科目とは、お金の動きを分類するためのラベルのようなものです。

新社会人がよく使う勘定科目を整理すると以下の通りです。

場面勘定科目具体例
出張の交通費旅費交通費新幹線代・電車代・タクシー代
取引先との食事接待交際費会食・手土産代
社内の打ち合わせのお茶代会議費コーヒー代・お菓子代
文房具・コピー用紙消耗品費ボールペン・ノート・用紙
書籍・セミナー費用研修費・図書費専門書・資格講座
電話・インターネット代通信費携帯電話代・Wi-Fi代

簿記3級では、これらの勘定科目の基本的な使い方を学びます。試験勉強をしながら実務で使える知識が同時に身につくのが簿記の魅力です。

3. 「仕訳」とは何か?3分でわかる基本

経理部門の先輩から「この仕訳確認しておいて」と言われて困った経験はありませんか?

仕訳とは、会社のお金の動きを「借方(左側)」と「貸方(右側)」に分けて記録することです。

例えば、出張で電車代1,000円を現金で支払った場合の仕訳はこうなります。

借方(左)金額貸方(右)金額
旅費交通費1,000円現金1,000円

「旅費交通費が増えた(費用の発生)」「現金が減った(資産の減少)」という2つの変化を同時に記録しています。これが仕訳の基本です。

最初は難しく感じますが、簿記3級の学習を通じて繰り返し練習することで自然と身につきます。

仕訳をきる!ってどういうこと?簿記の世界では、取引(商品を仕入れる、仕入れた商品を販売する、土地を買うなど)や会計事象(工場が被災したため、建物の帳簿価額を切り下げるなど)を仕訳をきって表現しています。...

4. 簿記3級があると具体的にどう変わるか

簿記3級を取得した新社会人と取得していない新社会人では、日常業務でこんな差が出ます。「売上」「利益」の違いがあいまい

場面簿記なし簿記3級あり
経費精算勘定科目を毎回調べる・先輩に聞く迷わず自分で判断できる
決算書を見る数字の羅列にしか見えない会社の財務状況が読み取れる
会議での数字の話売上総利益・営業利益の意味がわかる
上司・経理との会話専門用語に戸惑うスムーズにコミュニケーションできる

特に営業職・企画職・総務職など、経理以外の職種でも決算書や予算を扱う機会は必ずあります。簿記の知識は職種を問わず役立ちます。

企業における簿記の重要性とキャリアアップへの道 企業における簿記の重要性とキャリアアップへの道 簿記は、会計の基本的な知識と技術を学ぶための学問であり、企業経営や個人の...

5. 簿記3級はどのくらいで取れるか

簿記3級の合格に必要な勉強時間は一般的に50〜100時間と言われています。1日1時間の勉強なら約2〜3ヶ月で合格圏内に入れます。

新社会人のうちに取得するメリットは大きいです。業務に慣れてくると勉強時間の確保が難しくなるため、入社後半年以内の比較的余裕のある時期に取り組むのがおすすめです。

新社会人が簿記を学ぶべき理由と効果的な勉強法 ~将来に差がつくスキル習得の第一歩~ 新社会人が簿記を学ぶべき理由と効果的な勉強法 ~将来に差がつくスキル習得の第一歩~ 社会人としてのスタートを切る今、簿記の知識は...

おすすめの学習方法

独学でも十分合格できますが、最近はオンライン講座を使うと効率よく学べます。スマホで隙間時間に学習できるものも多く、忙しい新社会人に向いています。

特にスタディング(STUDYing)は、スマホ1台で学習が完結するオンライン講座として人気があります。通勤時間や休憩時間などの隙間時間を活用できるため、忙しい新社会人に特におすすめです。

6. 簿記3級を取ったら次は?

簿記3級で基礎を固めたら、ぜひ簿記2級にも挑戦してみてください。

簿記2級では工業簿記(製造業のお金の流れ)や連結会計(グループ会社の決算書)なども学べます。転職市場でも評価が高く、履歴書に書ける資格として認知されています。

公認会計士の私から見ても、簿記2級を持っている人材は経理・財務・経営企画など幅広いキャリアの選択肢が広がります。まず3級から始めて、ゆくゆくは2級まで取ることを目標にしてみてください。

【社会人なら必ず取りたい!】簿記検定合格へのステップ【独学可能!】簿記の知識はビジネスにおいて非常に重要です。しかし、独学で学ぶとなると難しく感じる方も多いでしょう。本記事では、簿記を独学で学ぶ方法やおすすめのテキスト、必要なものについて詳しく解説します。...

まとめ

  • 新社会人が最初に直面する経費精算・仕訳は、簿記3級の知識でほぼ解決できる
  • 勘定科目を知るだけで日常業務がスムーズになる
  • 簿記3級は50〜100時間の勉強で合格できる
  • 職種を問わず、ビジネスパーソンとしての基礎教養として役立つ
  • 余裕のある入社後半年以内に取得するのがおすすめ

「難しそう」と思っている方こそ、まず簿記3級から始めてみてください。実務で使える知識が身につき、仕事への自信につながります。


【筆者プロフィール】現役監査法人勤務の公認会計士。CPAラボ(cpalabo.com)にて会計・簿記・キャリア・お金に関する情報を発信中。