500万円を超えてから、資産がなかなか増えない。

そう感じている方は多いと思います。私自身もこのフェーズで「資産が伸び悩む時期」を経験しました。

実は500〜1,000万円のフェーズは、資産形成の中で一番停滞しやすい時期です。資産はそれなりにあるけれど、まだ自由になるほどではない。中途半端な金額が「あるからこそ」、人は油断して使ってしまうのです。

この記事では、公認会計士として財務・会計の知識を持ち、自身もこの停滞期を経験した立場から、500〜1,000万円フェーズの乗り越え方を解説します。


なぜ500〜1,000万円で停滞するのか

このフェーズで停滞する理由は明確です。

「もう少しでまとまった金額になる」という安心感と、「まだ余裕があるわけではない」という焦りが同居するからです。

その結果、以下のような行動を取りがちになります。

  • 大きな買い物に手を出す(車・ブランド品など)
  • ライフイベントで一気に支出が増える(結婚・住宅購入)
  • 「これくらいなら大丈夫」と感じて投資以外の出費が増える
  • 資産があることに安心して節約意識が緩む

これは私自身の経験談でもあります。500万円を超えたタイミングで、つい車を買ってしまいました。当時は「ご褒美」のつもりでしたが、結果的に資産形成のペースが大きく落ちる原因になりました。


このフェーズで意識すべき2つのライフイベント

500〜1,000万円のフェーズで多くの人が直面するライフイベントは2つです。

①住宅購入・住宅ローン

このフェーズで最も金額が大きいライフイベントが住宅購入です。

住宅は一度買うと数千万円規模の支出になり、ローンを組めば30〜35年の固定支出が発生します。資産形成への影響が最も大きいイベントといえます。

公認会計士の視点で伝えたいのは、「無理のない金額で買う」ことの重要性です。一般的に住宅ローンは年収の5〜7倍までと言われますが、月々の返済額が手取りの25%以内に収まる金額に抑えるのが現実的なラインです。

「銀行が貸してくれる金額」と「無理なく返せる金額」は別物です。銀行が貸してくれるからといって、その金額を全部使う必要はありません。

②車の購入

私自身がやってしまった失敗です。500万円を超えた段階で車を買ったことで、資産形成のペースが大きく落ちました。

車は購入価格だけでなく、維持費(税金・保険・駐車場代・車検・ガソリン代)も毎月数万円かかります。便利な反面、資産形成のスピードを大きく落とす要因になります。

「本当に必要か」「リース・カーシェア・中古で代替できないか」を一度考えてから判断することをおすすめします。


停滞を脱する3つの方法

私が実際に試して効果があった方法は3つです。

①本業の収入を上げる

このフェーズで最も効果が大きいのが本業の収入アップです。具体的にはスキルアップや転職です。

毎月の積立額は収入と支出の差で決まります。支出を削るのには限界がありますが、収入は天井がありません。年収が100万円上がれば、月に8万円以上の積立が可能になります。

特に20代後半〜30代前半は、転職市場での価値が最も上がりやすい時期です。今の職場で頭打ちを感じているなら、転職を視野に入れる価値があります。

私の周りでも、転職を機に年収が大幅に上がり、資産形成のペースが一気に加速した人を多く見てきました。

②副業で収入源を増やす

本業以外の収入源を作ることも有効です。ブログ・アフィリエイト・スキル販売(クラウドソーシング)・物販など、低コストで始められる副業はたくさんあります。

私自身、ブログ・アフィリエイトの副業をしています。最初は月数千円でしたが、続けていくと収入が増え、それを丸ごとNISA・iDeCoに回せるため、資産形成のペースを大きく上げられます。

副業の最大のメリットは「リスクの分散」です。本業の収入が途絶えても、副業があれば生活への影響を緩和できます。

③不要品の売却

意外と見落としがちなのが、家にある不要品の売却です。

私もこのフェーズで、眠っていた腕時計を売却しました。使っていなかった腕時計が想定以上の金額になり、それを丸ごと投資に回すことができました。

家にある以下のようなものは、メルカリやヤフオク、専門の買取サービスで意外と高く売れます。

  • 使っていない腕時計・ブランド品
  • 趣味で買ったが手放したいもの(楽器・カメラ・ゲーム機など)
  • 本・参考書
  • 古い家電・スマホ
  • 着なくなった服

「使わないけど捨てるのはもったいない」というものは、お金に変えて投資に回す。これだけで停滞期を一気に脱するきっかけになります。


投資戦略はどう変えるべきか

500〜1,000万円のフェーズでは、基本戦略は前回(100〜500万円)から大きく変わりません。

  • NISA・iDeCoの満額積立を継続
  • 投資信託はS&P500・全世界株式が基本
  • リスク許容度で現金と投資信託の比率を調整
  • 積立設定したら放置

ただし、このフェーズで意識すべきことが1つあります。

投資額を増やす意識を持つ

500万円までは「投資の習慣を作る」ことが目的でした。500万円を超えたら、「投資額を増やす」ことを意識しましょう。

たとえば、収入が増えた分・副業で稼いだ分・不要品の売却益などは、すべて投資に回す。生活水準を上げずに、増えた分を投資に直行させる仕組みを作ることが重要です。

私は楽天証券で月々の積立を続けていますが、ボーナス時の追加投資や副業収入の投資など、収入が増えるたびに投資額を調整しています。


おすすめの証券会社・銀行

NISA・iDeCoの口座は引き続き楽天証券がおすすめです。私自身も楽天証券でNISAとiDeCoを運用しています。

口座開設・管理料が無料で、楽天ポイントで投資信託が買えるため、楽天経済圏を使っている方には特に相性が良いです。





また、生活防衛資金や住宅購入の頭金など「数年後に確実に使うお金」は、住信SBIネット銀行の目的別口座で管理するのがおすすめです。

1つの口座内で「生活防衛資金」「住宅頭金」「車検費用」など、目的ごとにお金を分けて管理できます。私もこの目的別口座で複数の目的に分けて貯めています。「何のために」「いくら貯まったか」が一目でわかるため、貯金のモチベーションが続きやすいです。


このフェーズでやってはいけないこと

公認会計士として、停滞期にやりがちな失敗をお伝えします。

①「ご褒美」で大きな買い物をする

私自身の失敗談でもあります。「500万円達成したから車を買おう」「節約を頑張ったから旅行に行こう」という気持ちは大切ですが、金額が大きくなると資産形成のペースが落ちます。

ご褒美はOKですが、「資産の何%まで」と上限を決めることをおすすめします。

②生活水準を一気に上げる

収入が上がると、つい家賃を上げたり、外食を増やしたりしがちです。これを「ライフスタイルインフレ」といいます。

一度上げた生活水準を下げるのは非常に難しい。収入が上がっても生活水準は据え置き、増えた分は全部投資に回すのが王道です。

③ハイリスクな投資に手を出す

「もっと早く増やしたい」と思ってFX・暗号資産・個別株に大きく投資するのは危険です。資産が一気に減ると、立て直すのに数年かかります。

このフェーズでも、インデックス投資の継続が最も合理的な選択です。

④投資の勉強をやめる

500万円を超えると「もう自分は投資を理解している」と感じて勉強をやめがちです。

でも投資の最大の敵は感情の揺れ。勉強を続けることで「下落しても長期では戻る」という確信を保ち、相場の上下に動揺しないメンタルを維持できます。

YouTubeや本での勉強は、第2回で紹介したように継続することが大切です。


まとめ:500〜1,000万円のロードマップ

ステップ内容
①停滞しやすい時期と認識する油断による出費増を防ぐ
②大きな買い物は慎重に車・住宅は資産への影響大
③本業の収入を上げるスキルアップ・転職を視野に
④副業で収入源を増やすリスク分散+投資額アップ
⑤不要品を売却して投資に回す眠っている資産を活用
⑥投資額を増やす意識を持つ増えた分は生活水準を上げず投資へ

500万円から1,000万円までの道のりは、自分との戦いです。中途半端に資産があるからこそ油断しやすい。でもこのフェーズを乗り越えれば、1,000万円の壁が見えてきます。


次回予告:1,000万円以上のフェーズ

シリーズ最終回では、1,000万円を超えた後の「資産の守り方と最適化」について解説します。資産防衛・税金対策・FIREへの道筋まで踏み込みます。

公開次第このページからリンクします。


※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資は必ずご自身の判断と責任で行ってください。

【筆者プロフィール】現役監査法人勤務の公認会計士。CPAラボ(cpalabo.com)にて会計・簿記・キャリア・お金に関する情報を発信中。