「投資を始めたいけど、聞きたいことがありすぎて一歩踏み出せない」

そんな方のために、投資初心者からよく聞かれる質問10個に、本音で答えていきます。

私は公認会計士として財務・会計の仕事をしていますが、職業柄、同僚や家族・親戚から投資の質問を受けることが本当に多いです。中でも圧倒的に多いのが「どうやって始めればいいかわからない」「何を買えばいいかわからない」の2つ。

この記事では、実際に聞かれてきた質問と、私が実際にしてきた回答をベースにまとめました。

ちなみに私自身は20代後半から投資を始めて約10年。NISA・iDeCoでのインデックス投資を軸に、コロナショックのような下落相場も経験してきました。


Q1. そもそも、なぜ投資が必要なんですか?

A. インフレでお金の価値が下がり続けているからです。

投資の質問を受けていて感じるのは、投資を始めていない人の多くが「今インフレが起きている」という状況をあまり実感できていないことです。

インフレとは物価が上がり続けること。言い換えると、同じ100万円で買えるものが年々少なくなっていくことです。

例えば物価が年2%上がり続けると、銀行に置いてある100万円の実質的な価値は10年後に約82万円分まで目減りします。何もしていないのに、です。

「投資はお金を増やすためのもの」と思われがちですが、正確には「お金の価値を守るためのもの」でもあります。現金だけで資産を持つことは、実はノーリスクではなくインフレに負け続けるリスクを取っている状態なんです。

これを伝えると、多くの人の投資への見方が変わります。


Q2. どうやって始めればいいですか?

A. ネット証券で口座を開いて、投資信託の自動積立を設定する。これだけです。

一番よく聞かれる質問です。手順は思っているよりずっとシンプルです。

  1. ネット証券(楽天証券・SBI証券など)でNISA口座を開設する(スマホで完結・無料)
  2. インデックス投資信託を選ぶ
  3. 毎月の自動積立を設定する(100円からでOK)
  4. あとは放置

やることは実質この4ステップだけ。最初の口座開設さえ済ませてしまえば、あとは自動でお金が積み立てられていきます。

「難しそう」と身構えている方ほど、実際にやってみると「え、これだけ?」と拍子抜けします。銀行口座を作るのと大差ありません。


Q3. 何を買えばいいですか?

A. 迷ったらS&P500か全世界株式のインデックス投資信託です。

「どうやって始めるか」と並んでよく聞かれる質問です。

投資初心者が個別株(トヨタやAppleなど1社の株)を選ぶのは正直おすすめしません。企業分析には知識と時間が必要で、1社に集中するリスクも大きいからです。

インデックス投資信託なら、1本買うだけで数百〜数千社に分散投資できます。

私自身はS&P500(米国の代表的な500社に分散)を毎月積み立てています。公認会計士として決算書を読める立場ですが、それでも個別株を選ぶよりインデックスの合理性が上回ると考えています。プロでも市場平均に勝ち続けるのは難しい、というのが投資の世界の現実です。


Q4. 投資に回すお金がありません

A. ポイント投資から始めるという方法があります。

実際にあったエピソードを紹介させてください。

以前、同僚から「投資に興味はあるけど、投資に回すお金があまり出せない」と相談されたことがあります。

そのとき私は「楽天証券なら楽天ポイントで投資できますよ」と答えました。普段の買い物で貯まるポイントなら、現金を1円も使わずに投資を体験できるからです。

その同僚はまず手持ちの楽天ポイントだけで投資を始めました。すると値動きを実際に体験するうちに投資への抵抗感が消えていき、次第に自分のお金も投資に回せるようになったそうです。最近は含み益も増えてきたようで、「あのとき教えてくれてありがとう」と感謝されました。

このエピソードから伝えたいのは、投資の最大のハードルは金額ではなく心理的な抵抗感だということです。ポイントなら「なくなっても惜しくない」ので、最初の一歩として最適です。まず体験してみると、世界が変わります。


Q5. NISAとiDeCo、どっちから始めるべきですか?

A. 余裕があれば両方。優先順位をつけるならiDeCoからです。

理由は、iDeCoは掛金が全額所得控除になり「今すぐ節税効果が出る」からです。例えば年収500万円の方が月2万円拠出すると、年間で約4.8万円の節税になります。積立をしながら税金も減る、一石二鳥の制度です。

ただしiDeCoは原則60歳まで引き出せません。結婚・住宅購入などでお金を使う可能性がある方は、いつでも引き出せるNISAとバランスを取りながら進めてください。

私は両方を並行して、iDeCoは毎月上限額まで拠出しています。


Q6. 今は株価が高いから、下がるのを待った方がいいですか?

A. 待たなくていいです。今すぐ少額で始めることをおすすめします。

「高値づかみが怖い」という気持ちはよく分かります。でも、株価がいつ下がるかは誰にも分かりません。プロの投資家でも当てられません。

下がるのを待っている間に株価がさらに上がってしまい、「あのとき買っておけば」と後悔するパターンは本当によくあります。

毎月定額を積み立てる方法(ドルコスト平均法)なら、高いときは少なく、安いときは多く買うことになり、買うタイミングを考える必要がなくなります。

「投資を始めるベストなタイミングは誰にも分からない。だから今すぐ少額で始めて、時間を味方につける」が私の結論です。


Q7. 暴落したらどうすればいいですか?

A. 何もしないでください。売らずに積立を続けるだけです。

私は2020年のコロナショックを経験しました。世界中の株価が1ヶ月で30%以上下落し、SNSは「もう終わりだ」という悲観であふれていました。

そのとき私がやったことは、売却ではなく買い増しです。長期で見れば市場は回復すると考えていたからです。実際、その後の相場は回復し、あのとき売らなくて本当に良かったと思っています。

暴落時に一番やってはいけないのは、恐怖で売ってしまうこと(狼狽売り)です。下落は「安く買えるバーゲンセール」くらいの気持ちで、淡々と積立を続けてください。

そのためにも、投資は「当面使わないお金」でやることが大前提です。私は「3年以内に使う予定のあるお金は投資に回さない」というルールを守っています。


Q8. 借金(奨学金・ローン)があっても投資していいですか?

A. 金利によります。高金利の借金があるなら返済が先です。

判断基準はシンプルで、「借金の金利」と「投資の期待リターン」の比較です。

株式インデックス投資の期待リターンは年5%前後と言われます。つまり:

  • リボ払い・カードローン(年15%前後) → 投資より返済が圧倒的に優先。年15%の借金を返すことは、年15%で運用するのと同じ効果があります
  • 奨学金(年0〜1%前後) → 無理に繰り上げ返済せず、投資と並行してOK
  • 住宅ローン(年0.5〜2%前後) → 基本的に投資と並行してOK

高金利の借金を抱えたまま投資をするのは、穴の空いたバケツに水を注ぐようなものです。まず穴をふさぎましょう。


Q9. 個別株・FX・仮想通貨はやってもいいですか?

A. 資産形成の主軸にはしないでください。やるなら「なくなってもいいお金」で。

FXや仮想通貨で大きく稼いだ話を聞くと魅力的に見えますが、その裏には大きく損した多数の人がいます。短期の値動きを当て続けるのは、プロでも困難です。

私自身、ビットコインを保有していますが、資産全体の5%未満と決めています。「なくなっても許容できる金額」だけ、スパイスとして持つイメージです。

資産形成の主軸(8〜9割)はインデックス投資の積立。残りの少額で興味のあるものを試す。この比率を守れば、大きな失敗は避けられます。

ちなみに「絶対儲かる」「月利10%」といった話は全て詐欺です。公認会計士として断言します。


Q10. どのくらいで資産1,000万円になりますか?

A. 毎月の積立額次第ですが、私は投資を始めて約8年かかりました。

参考までに、毎月の積立額ごとの目安を示します(年利5%で運用できた場合)。

毎月の積立額1,000万円到達までの目安
3万円約18年
5万円約13年
8万円約9年
10万円約8年

私自身は20代後半から投資を始めて、約8年で1,000万円に到達しました。ただ正直に言うと、世間が思うほど資産形成のスピードは上がりません。地道な積立の継続が全てです。

そして1,000万円を超えても、日々の生活は驚くほど変わりません。それでも「お金の不安が減る」という精神的な効果は想像以上に大きいです。

焦らず、比べず、自分のペースで続けることが何よりも大切です。


まとめ:10の質問への答えを一言で

質問答え
Q1. なぜ投資が必要?インフレでお金の価値が目減りするから
Q2. どうやって始める?ネット証券で口座開設→積立設定→放置
Q3. 何を買う?S&P500か全世界株式のインデックス
Q4. お金がないポイント投資から始めるのもアリ
Q5. NISAとiDeCoどっち?両方。優先はiDeCo
Q6. 高値だから待つべき?待たずに今すぐ少額で
Q7. 暴落したら?何もしない。売らない
Q8. 借金があっても?高金利の借金は返済が先
Q9. FX・仮想通貨は?主軸にしない。やるなら5%未満
Q10. 1,000万円までどのくらい?積立額次第。私は約8年

投資は「知れば知るほど怖くなくなる」ものです。この記事が、あなたの最初の一歩の後押しになれば嬉しいです。

マネーフォワード ME


※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資は必ずご自身の判断と責任で行ってください。

【筆者プロフィール】現役監査法人勤務の公認会計士。CPAラボ(cpalabo.com)にて会計・簿記・キャリア・お金に関する情報を発信中。