「資産1,000万円を超えたけど、ここからどうすればいい?」

そう感じている方に向けた記事です。

私自身、1,000万円は投資を始めてから約8年で達成しました。これまでは「貯める」「増やす」の一辺倒でしたが、1,000万円を超えると「守る」という意識が少しずつ顔を出してきます。

公認会計士として財務・会計の知識を持ちながら、自身もこのフェーズを歩んでいる立場から、1,000万円を超えた人がやるべきことを正直に解説します。

シリーズ最終回となるこの記事のテーマは「資産形成から資産防衛への切り替え」です。


正直に伝えたい2つのリアル

最初に正直なことを書かせてください。1,000万円を達成して感じた2つのリアルです。

①世間が思うほど資産形成スピードは上がらない

「公認会計士」と聞くと「高給=資産形成も早そう」というイメージを持たれることがあります。

でも実際は世間が思うほどスピードは上がりません。

理由はシンプルで、収入が上がっても税金・社会保険料の負担が増え、手取りの伸びは想像より穏やかです。さらに「会計士だからこそ」付き合いや勉強への投資も増えます。

つまり職業に関わらず、資産形成は地道な積み重ねが必要です。「自分の職業では無理だ」と諦めず、まずは仕組みを作って続けることが何より大切です。

②資産額は上がっても生活の質は上がらない

1,000万円を超えても、日々の生活は驚くほど変わりません。

朝ご飯を食べて、仕事に行って、帰宅して、寝る。資産が100万円のときと1,000万円のときで、日常生活はほぼ同じです。

「資産が増えたら贅沢な生活ができる」というのは幻想です。仮に生活水準を上げてしまえば、せっかく増えた資産も簡単に溶けていきます。

だからこそ、生活水準を上げず、淡々と積立を続けることが資産形成の王道なのだと改めて実感しています。


1,000万円超えで変わる3つの感覚

1,000万円を超えると、これまでとは違う感覚が出てきます。

①入金力で資産が伸びる感覚が薄れる

これが最も大きな変化です。

500万円までは、毎月の積立額(入金力)が資産の伸びを大きく左右しました。月10万円積み立てれば年間で120万円増える。シンプルで分かりやすい世界です。

しかし1,000万円を超えると、相場のたった1日の上下で数万円〜数十万円資産が変動します。月10万円の積立よりも、相場の値動きの方が資産に与える影響が大きくなるのです。

「努力で資産を伸ばす」から「相場に身を任せる」への切り替えが必要なフェーズです。

②資産防衛の意識が芽生える

これまでは「もっと増やしたい」という攻めの意識が中心でしたが、1,000万円を超えると「守る」意識が出てきます。

「コロナショックのような大暴落が来たら、含み損が数百万円になるかも」というリアルな数字が見えてくるからです。

500万円までは下落しても挽回できる金額でしたが、1,000万円を超えると下落の絶対額が大きくなり、心理的な負担も増します。

③お金の悩みが減る

良い変化もあります。1,000万円という金額は心理的な安心感を与えてくれます。

「失業しても2〜3年は生活できる」「急な大きな出費があっても対応できる」という安心感が、日々のお金の悩みを大きく減らしてくれます。


このフェーズでやるべきこと

1,000万円を超えた人がやるべきことは以下の4つです。

①NISA・iDeCoの積立は継続する

「もう1,000万円あるから積立をやめてもいい」と考えるのは早すぎます。

このフェーズでも資産形成は継続が基本です。NISAとiDeCoは引き続き満額を目指して積立を続けましょう。複利の力が本当の意味で効いてくるのはこれからだからです。

②少しずつ資産防衛の視点を入れる

1,000万円を超えたら、ポートフォリオに「守りの資産」を少し入れる検討を始めても良い時期です。

具体的には債券や金(ゴールド)です。

守りの資産特徴
債券株式と逆相関の動きをすることが多く、株式下落時のクッションになる
金(ゴールド)インフレヘッジ・地政学リスクへの備え
現金比率を上げる暴落時に追加投資できる「弾」を残す

注意点として、守りの資産を入れすぎると長期リターンが下がります。攻めの資産(株式)を主軸にしつつ、守りの資産は全体の10〜20%程度に留めるのが現実的です。

私自身も、これまではほぼ100%株式インデックスでしたが、少しずつ債券ETF・債券ファンドの購入を検討し始めています。具体的には先進国債券を中心に検討中です。先進国債券は日本国債より利回りが高く、為替リスクはあるものの長期では分散効果が期待できると考えています。

③相場との付き合い方を変える

このフェーズで重要なのは「相場に身を任せる」という考え方です。

入金力で資産を伸ばすステージは終わりました。これからは相場の動きに身を委ね、長期で見れば右肩上がりの市場に乗っていくスタンスが基本になります。

具体的には以下の意識が大切です。

  • 毎日の値動きを気にしない
  • 相場が下落しても狼狽売りしない
  • 上昇局面でも欲を出さず、淡々と積立を続ける
  • ニュースや評論家の意見に振り回されない

これは投資の本質的な部分で、頭で分かっていても実践は難しい。でも資産が大きくなるほど、この姿勢が長期リターンを決めると実感しています。

④税金・社会保険・相続も意識する

1,000万円を超えると、税金や社会保険、将来の相続も視野に入ってきます。

公認会計士として伝えたい3つのポイントです。

1つ目は、NISAの非課税枠を最大限活用すること。1,800万円の生涯投資枠を埋めることを目標にすると、運用益への課税を大きく減らせます。

2つ目は、確定申告で活用できる控除を漏れなく使うこと。ふるさと納税・医療費控除・iDeCoの所得控除など、年間で数万円〜数十万円の節税ができます。

3つ目は、相続を意識し始める時期だということ。資産が大きくなれば、将来の相続税対策も視野に入れる必要があります。


私の現在の資産配分

参考までに、私が現時点で意識している資産配分の方向性をお伝えします。

資産種別比率の目安役割
株式インデックス(S&P500・NASDAQ100)70〜80%長期リターンの主軸
現金(生活防衛資金は別)10〜20%暴落時の追加投資用
守りの資産(債券・金など)0〜10%リスク分散・徐々に増やす

これはあくまで私の場合で、年齢・リスク許容度・収入によって最適な配分は変わります。読者の方は自分の状況に合わせて調整してください。


過去の失敗を踏まえて意識していること

第3回でお伝えしましたが、500万円を超えたタイミングで車を買って資産形成のペースが落ちた経験があります。

その反省を踏まえ、今後の大きな買い物については以下の方針を持っています。

  • 買うのをやめる:本当に必要か疑い、代替手段(カーシェアなど)を検討する
  • 買う金額を下げる:必要なら買うが、グレード・モデルを抑える

1,000万円を超えても、油断すると停滞期は再びやってきます。むしろ資産がある分、大きな買い物への誘惑も増えるため、より意識的にコントロールする必要があります。

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私の長期ゴール:サイドFIRE

参考までに、私自身の長期ゴールはサイドFIRE(セミリタイア)です。

完全なFIRE(早期リタイア)ではなく、好きな仕事を続けながら経済的な自由を手に入れる状態です。資産運用の不労所得をベースに、好きな仕事を選んで続ける。これくらいの自由度が、私にはちょうどいいと感じています。

増えた資産と時間は「より貴重なものに使う」。家族との時間、自己成長、健康、好きなことへの挑戦。お金のためだけに働く時間を減らし、人生の質を上げることが本当のゴールだと考えています。

このフェーズでやってはいけないこと

公認会計士として、このフェーズでよく見る失敗パターンをお伝えします。

①「もう増やせた」と気を緩めて使ってしまう

1,000万円は安心感がある反面、「もう十分」と感じて積立をやめたり、生活水準を上げたりしがちです。

でも1,000万円ではFIREには遠く、老後資金としても十分とは言えません。引き続き積立を続けることが重要です。

②大きく利確して個別株・FXに投資する

「インデックスより個別株でリターンを狙いたい」「FXで一気に増やしたい」という気持ちが出てきやすいフェーズです。

でも長期で見れば、インデックス投資が最も合理的な選択です。資産が大きくなったからといって、リスクの大きい投資に手を出す必要はありません。

③相続税対策を「まだ早い」と先送りする

相続税対策は早く始めるほど効果が大きくなります。生前贈与や生命保険の非課税枠など、時間をかけて活用すべき制度がたくさんあります。

1,000万円を超えたら、相続も視野に入れて準備を始めるのがおすすめです。


投資環境の整え方

NISA・iDeCoの口座は引き続き楽天証券がおすすめです。1,000万円を超えても口座のメンテナンスは引き続き重要で、ポイント還元やアプリの使いやすさで楽天証券は使い続ける価値があります。





また、生活防衛資金や暴落時の追加投資用の現金は、住信SBIネット銀行の目的別口座で管理するのが便利です。

目的別口座を使えば「生活防衛資金」「暴落時の追加投資用」「住宅頭金」「老後資金」など、目的ごとにお金を分けて管理できます。資産が増えるほど、お金の役割を明確に分けて管理することが重要になります。私もこの目的別口座で複数の目的を管理しています。

目的別口座以外にも、私が実際に使ってよかった機能があります。

  • 他行宛振込手数料の無料枠:取引状況に応じて月数回まで無料になるため、複数の銀行口座間でお金を動かす際に重宝します
  • ATM手数料の無料枠:こちらも条件次第で月数回まで無料。日常使いでもメインバンクとして使いやすいです

「振込手数料を気にせずお金を動かせる」のは、複数口座で資金管理する人にとって地味に大きなメリットです。


まとめ:1,000万円超えからのロードマップ

ステップ内容
①NISA・iDeCoの積立を継続複利の力をフルに活かす
②守りの資産を少しずつ入れる債券・金で全体の10〜20%まで
③相場に身を任せる姿勢入金力ではなく相場で増える時期
④非課税枠・控除を最大活用NISA生涯枠1,800万円を目指す
⑤相続税対策も視野に入れる早く始めるほど効果大

1,000万円は通過点に過ぎません。複利の力が本当に効いてくるのはここからです。


シリーズを通じてお伝えしたかったこと

資産形成シリーズは全4回でお届けしました。

  • 第1回(0〜100万円):先取り貯金と生活防衛資金の確保
  • 第2回(100〜500万円):投資の本格スタート
  • 第3回(500〜1,000万円):停滞期の乗り越え方
  • 第4回(1,000万円以上):資産形成から資産防衛へ

各フェーズで意識すべきことは違いますが、共通しているのは「シンプル・継続・仕組み化」です。

派手なテクニックは必要ありません。先取り貯金・インデックス投資・自動積立。この基本を淡々と続けることが、誰でも実現可能な資産形成の王道です。

私自身も道半ば。読者のみなさんと一緒に、これからも資産形成を続けていきたいと思います。

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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資は必ずご自身の判断と責任で行ってください。

【筆者プロフィール】現役監査法人勤務の公認会計士。CPAラボ(cpalabo.com)にて会計・簿記・キャリア・お金に関する情報を発信中。