「事業用の車をリース契約で使っているけど、勘定科目は何にすればいいの?」「コピー機をリースで導入したいけど、購入したときと処理は同じでいいの?」「リース料は全額そのまま経費にしてしまって大丈夫?」

個人事業主・フリーランスが営業用の車やコピー機・複合機などのオフィス機器を導入する際、購入ではなく「リース契約」を選ぶケースは少なくありません。まとまった資金を用意しなくても始められる手軽さが魅力ですが、いざ経理処理をしようとすると、購入したときのように資産として計上すべきなのか、それとも支払った分をそのまま経費にしてよいのかで迷う方が多いポイントでもあります。

この記事では公認会計士が、個人事業主がリース契約で車やオフィス機器を導入した場合の勘定科目・仕訳の基本から、購入との違い、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区別、具体的な仕訳例、資産計上が必要になる例外的なケースまでをわかりやすく解説します。


リースとは?購入との違いをまず整理

リース(lease)とは、リース会社が所有する車や機械・設備などの資産を、契約に基づいて一定期間借りて使用し、その対価として「リース料」を支払う取引のことです。月々の利用料を支払ってサービスを受け続けるという点では、家賃や保険料の支払いに近いイメージを持つとわかりやすいでしょう。

一方、「購入」は資産の所有権をそのまま取得する取引です。以前の記事で解説したとおり、個人事業主が事業用の車を購入した場合は「車両運搬具」という勘定科目で資産計上し、耐用年数(たいようねんすう、資産を使用できると見込まれる期間)に応じて減価償却(げんかしょうきゃく、資産の取得価額を使用期間にわたって少しずつ費用化する手続き)を行うのが原則でした。

リースと購入では、資産の持ち方や会計処理の基本的な考え方が次のように異なります。

比較する点 購入 リース
資産の所有権 事業主自身に帰属する 原則としてリース会社に残る(契約終了時に返却が基本)
初期費用 車両価格・機器代金などまとまった支出が必要 頭金なしで始められることが多く、初期費用を抑えられる
勘定科目の基本 車両運搬具・工具器具備品などの固定資産として資産計上 賃借料(またはリース料)として支払時に経費計上するケースが中心
毎月の会計処理 減価償却費の計上(決算時にまとめて処理することも可能) リース料を支払うたびに経費として処理するだけで済むことが多い
契約終了後 売却・下取りが可能(個人事業主の場合は譲渡所得として扱われる) 返却が基本(契約内容によっては再リースや買取のオプションもある)

このように、リースは「資産を持たずに使用する」取引であるため、会計処理も購入時とは異なる考え方がベースになります。ただし、後述のとおりリース契約の内容によっては、購入した場合と同じように資産計上が必要になるケースもあるため、一律に「リースなら常に経費で済む」と考えるのは禁物です。


リースの2種類「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」

会計・税務上、リース取引は大きく「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2種類に分類されます。この分類によって、経費にできるタイミングや金額の考え方が変わってきます。

ファイナンス・リース(finance lease)とは、次の2つの条件をどちらも満たすリース取引のことです。

  • 中途解約不能(ノンキャンセラブル):契約期間の途中で契約を解除できない、またはこれに準じる契約であること
  • フルペイアウト:借主が資産を使用することで得られる経済的な利益を実質的にすべて受け取り、その資産の使用にともなうコストも実質的にすべて負担していると認められること

簡単にいうと、「契約期間の途中でやめられず、実質的にはその資産を使い切るまで料金を払い続ける」という、経済的には分割払いで購入しているのとほとんど変わらない状態のリース取引を指します。車のリースや、コピー機・複合機などのオフィス機器のリースの多くは、この条件に当てはまる形で契約されています。

一方、オペレーティング・リース(operating lease)は、この2条件を満たさないリース取引全般を指します。中途解約ができる契約や、資産の価値のごく一部しか使用しない短期間の契約などが該当し、通常の賃貸借取引(物を借りて使用料を払うだけの取引)とほぼ同じ考え方で処理します。

ファイナンス・リースはさらに「所有権移転」と「所有権移転外」に分かれる

ファイナンス・リースは、契約終了後にリース資産の所有権が借主に移るかどうかによって、さらに次の2つに分かれます。

  • 所有権移転ファイナンス・リース:契約終了後に資産の所有権が借主に移転することが契約上定められているもの。経済的には分割払いでの購入とほぼ同じであるため、税務上も購入した場合と同じ通常の減価償却方法で処理するのが原則です
  • 所有権移転外ファイナンス・リース:契約終了後も所有権はリース会社に残り、資産を返却するのが基本となるもの。車やコピー機のリースの多くはこちらに該当します。この場合は「リース期間定額法(リース期間中に均等に費用配分する減価償却の方法)」で処理するのが原則とされています

言葉だけを見ると複雑に感じるかもしれませんが、個人事業主が日常的に契約する車やオフィス機器のリースの多くは「所有権移転外ファイナンス・リース」に形式的には該当します。とはいえ、次の章で説明するとおり、実務上はこの分類を意識しなくても済むシンプルな処理が認められている場合がほとんどです。


個人事業主の実務では「賃借料」で処理するシンプルな方法が中心

ここまでの説明だけを読むと、「車やコピー機のリースは資産計上が必要になるのでは」と不安になった方もいるかもしれません。しかし実務上、中小企業者等(個人事業主を含む)がリース契約を結ぶ場合、次のいずれかに当てはまるリース取引については、資産・負債を計上せず、支払ったリース料をそのまま「賃借料」として経費計上する処理(賃貸借処理)が認められています。これはもともと法人税の取扱いに基づくものですが、個人事業主の所得税についても同様の考え方に基づいて判断されるのが一般的とされています。

  • 借主が中小企業者等(個人事業主を含む)に該当する場合
  • リース期間が1年以内の場合
  • 1つの契約あたりのリース料総額が300万円以下の場合

車1台・コピー機1台あたりのリース契約は、月々のリース料が数万円程度、リース期間も3〜7年程度に収まることが多く、契約1件あたりのリース料総額が300万円を超えないケースが大半です。そのため個人事業主が日常的に契約する車・オフィス機器のリースの多くは、たとえ形式的には「所有権移転外ファイナンス・リース」に該当していても、実務上は難しい資産計上・減価償却の手続きを行わず、支払った月に「賃借料」(会計ソフトによっては「リース料」という科目が用意されている場合もあります)として経費計上するだけのシンプルな処理で済むケースが中心になります。

なお、勘定科目名は「賃借料」「リース料」のどちらでも大きな違いはありません。迷う場合は、家賃や他のレンタル費用と合わせて「賃借料」に統一しておくと管理がしやすくなります。

一方で、リース料総額が300万円を超える大型の設備リースや、契約終了後に所有権が移転する契約(所有権移転ファイナンス・リース)などは、この簡便的な取扱いの対象外となり、資産計上が必要になることがあります。この点は後ほど改めて解説します。


【仕訳例】車をリースして毎月リース料を支払う場合

具体的な仕訳例で確認してみましょう。

(例)事業用の普通乗用車を月額30,000円(自動車税・任意保険料・車検費用込みのメンテナンスリース、契約期間5年)でリース契約している個人事業主が、当月分のリース料を普通預金口座から支払った場合

(借方)賃借料 30,000円 /(貸方)普通預金 30,000円

購入した場合と比べると、仕訳がとてもシンプルになる点がリースの特徴です。以前の記事で解説したとおり、車を購入した場合は車両運搬具としての資産計上に加えて、自動車税・自賠責保険料などの付随費用を租税公課や損害保険料として個別に処理する必要がありました。一方、メンテナンス費用込みのカーリース契約であれば、これらの費用が月額リース料にまとめて含まれていることが多く、支払いのたびに「賃借料」を計上するだけで済みます(契約内容によっては、任意保険や燃料費などが別料金になっている場合もあるため、契約書で範囲を確認しておくと安心です)。

なお、リース契約した車を事業だけでなくプライベートでも使用している場合は、購入した場合と同じように「家事按分(かじあんぶん、事業とプライベート両方に使っている支出について、事業で使った割合分だけを経費にする考え方)」を行い、リース料のうち事業使用割合分だけを経費にする必要があります。家事按分の考え方や按分割合の決め方については、前述の車購入に関する記事で詳しく解説しています。


【仕訳例】コピー機・オフィス機器をリースする場合

コピー機・複合機などのオフィス機器のリースも、車と同じように毎月のリース料を「賃借料」として処理するのが基本です。

(例)事務所で使用する複合機を月額12,000円でリース契約(契約期間5年)している個人事業主が、当月分のリース料を普通預金口座から支払った場合

(借方)賃借料 12,000円 /(貸方)普通預金 12,000円

複合機・コピー機のリースでは、この「リース料」とは別に、印刷枚数に応じて課金される「保守契約(保守料・カウンター料金などと呼ばれます)」を別契約で結ぶのが一般的です。保守契約はトナー代や部品交換・点検などのメンテナンスサービスに対する対価であり、リース会社への使用料であるリース料とは性質が異なるため、勘定科目を分けて処理するのが一般的です。

(例)上記の複合機の保守契約について、当月分の印刷枚数に応じたカウンター料金5,000円を普通預金口座から支払った場合

(借方)消耗品費 5,000円 /(貸方)普通預金 5,000円

保守料の勘定科目は「消耗品費」のほか、「支払手数料」「修繕費」などで処理している例も見られます。どの科目を使うかに絶対的な正解があるわけではありませんが、一度決めたら継続して同じ科目を使うようにしましょう。


特殊なケースの処理:前払い・資産計上が必要な場合

リース料を年払い・一括前払いした場合は「前払費用」で処理

リース契約の中には、月払いではなく年払い・複数年分をまとめて前払いすることで割引が受けられるものもあります。この場合、支払った時点ではまだ提供を受けていない期間分のサービスの対価が含まれているため、その分は「前払費用(まえばらいひよう)」としていったん資産計上し、期間の経過に応じて「賃借料」に振り替える処理が必要です。これは家賃や保険料を年払いした場合と同じ考え方です。前払費用の具体的な仕訳例(支払時・決算時の処理、短期前払費用の特例)は以下の記事で詳しく解説しています。

所有権移転ファイナンス・リースなど資産計上が必要になるケース

次のようなケースでは、リース料を支払うたびに経費計上するだけでは済まず、車を購入した場合と同じように「資産計上」と「減価償却」の処理が必要になることがあります。

  • 契約終了後に資産の所有権が借主に移転する「所有権移転ファイナンス・リース」に該当する場合
  • 借主が中小企業者等に該当せず、かつリース期間1年超・契約1件当たりのリース料総額300万円超など、少額・短期リースの簡便的な取扱いの対象外になる場合

このようなケースでは、契約時に「リース資産」(借方、資産)と「リース債務」(貸方、リース会社に対して将来支払う義務を表す負債)を計上し、毎月の支払いは元本相当額(リース債務の返済)と利息相当額に分けて処理します。この考え方は、以前の記事で解説した車をローンで購入した場合の処理(元本部分と利息部分を分けて処理する)とよく似ています。

(例)所有権移転外ファイナンス・リースに該当する複合機を契約し、契約時にリース資産・リース債務を計上する場合(リース料総額800,000円)

(借方)リース資産 800,000円 /(貸方)リース債務 800,000円
(例)上記のリース料(月額)を普通預金口座から支払った場合(元本相当額12,500円、利息相当額500円)

(借方)リース債務 12,500円
(借方)支払利息  500円
(貸方)普通預金 13,000円

資産計上後の減価償却は、所有権移転ファイナンス・リースであれば通常の減価償却方法、所有権移転外ファイナンス・リースであれば前述の「リース期間定額法」で行うのが原則です。元本と利息の按分計算はやや専門的になるため、実務では会計ソフトのリース資産管理機能を使うか、顧問税理士に相談しながら処理するとよいでしょう。

なお、資産計上が必要になった場合でも、算定された取得価額(原則としてリース料総額)が少額であれば、青色申告をしている個人事業主向けの「少額減価償却資産の特例」を使える可能性があるとされています。特例の要件は以下の記事で詳しく解説しています。


消費税の仕入税額控除のタイミングにも注意

リース料を支払う際は、消費税の仕入税額控除(かかった消費税を、預かった消費税額から差し引ける制度)のタイミングにも注意が必要です。

前述の「賃借料」として処理する方法(賃貸借処理)を採用している場合、一般的には、その月に受けたサービスの提供に対応する分として、リース料を支払うたびに(または対応する課税期間ごとに)仕入税額控除を計上する考え方が中心になります。日々の記帳としては、家賃や保険料など他の継続的な支払いと同じ感覚で処理して問題ないケースがほとんどです。

一方、リース取引が税務上「資産の売買」とみなされる要件(中途解約不能・フルペイアウト)を満たす所有権移転外ファイナンス・リースについては、原則として、リース資産の引き渡しを受けた課税期間に、リース料総額に対応する消費税額をまとめて仕入税額控除の対象とする取扱いが基本とされています。ただし、賃借人が会計上「賃貸借処理」を行っている場合は、リース料総額を一括ではなく、支払いのたびに分割して仕入税額控除を計上することも認められているとされており、実務上は多くの個人事業主がこちらの分割控除の形で処理しています。

なお、売上高が少なく消費税の申告が不要な免税事業者の方は、そもそも仕入税額控除の制度自体を意識する必要がないため、この論点は気にしなくて構いません。

消費税の課税事業者になったばかりの方や、金額の大きいリース契約を結んだ場合は、処理方法によって取扱いが変わる可能性があるため、利用している会計ソフトの設定や顧問税理士への確認を通じて、自分の処理方法に合った控除のタイミングを確認しておくと安心です。


リースと購入、どちらを選ぶべき?(判断のポイント)

最後に、リースと購入のどちらを選ぶべきかについて、会計処理の観点から簡単に触れておきます。

リースは、初期費用を抑えて始められるうえ、日々の経理処理もシンプルになりやすいというメリットがあります。減価償却費の計算や固定資産台帳の管理といった手間がかからず、月々の支払額が一定であるため資金繰りの見通しも立てやすくなります。一方で、長期間にわたって支払うリース料の総額は、購入した場合の代金より割高になる傾向があり、契約終了後も資産が手元に残らない(所有権を得られない)点はデメリットといえます。

購入は、初期費用がかかり減価償却などの会計処理も必要になる一方、資産が自分のものになるため、契約期間に縛られず長く使い続けたり、不要になったときに売却したりすることができます。車を購入した場合の耐用年数・家事按分・売却時の処理などについては、記事の冒頭でご紹介した車購入に関する記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

どちらが有利かは、必要な期間、資金繰りの状況、対象となる資産の種類などによってケースバイケースです。会計処理のしやすさだけでなく、事業計画や資金繰り全体を踏まえて、リース会社や顧問税理士にも相談しながら判断するとよいでしょう。


リース以外の勘定科目に迷ったら

ここまでリース契約の勘定科目・仕訳を解説してきましたが、個人事業主が勘定科目に迷う支出はリースに限りません。会計ソフトの利用料が経費になるかどうか、勘定科目は何にすればよいか迷っている方は、以下の記事もあわせてご確認ください。

また、リースのような有形の資産だけでなく、自社システムの開発費用のように「資産計上すべきか、その場で費用処理すべきか」の判断に迷う支出もあります。考え方の枠組みは以下の記事で解説しています。


まとめ

リース契約(車・オフィス機器)の会計処理について、ポイントを整理します。

  • リースは資産を保有せず使用料(リース料)を支払う取引で、購入(車両運搬具などとして資産計上)とは会計処理の基本的な考え方が異なる
  • リース取引は「ファイナンス・リース」(中途解約不能・フルペイアウト)と、それ以外の「オペレーティング・リース」に分かれる
  • ファイナンス・リースはさらに「所有権移転」(通常の減価償却)と「所有権移転外」(リース期間定額法)に分かれる
  • 個人事業主(中小企業者等)が結ぶリース契約は、リース期間1年以内・契約1件当たり300万円以下などの少額・短期リースに該当することが多く、資産計上せず「賃借料」として支払時に経費計上するシンプルな処理が中心になる
  • リース料を年払い・一括前払いした場合は「前払費用」として処理し、期間の経過に応じて費用に振り替える
  • 所有権移転ファイナンス・リースなど例外的なケースでは、リース資産・リース債務の計上と減価償却が必要になる
  • 消費税の仕入税額控除は、賃貸借処理をしている場合は原則として支払時ごとに計上する考え方が中心になる

車やコピー機のリース契約は、多くの個人事業主にとって身近な取引でありながら、購入とは異なる会計処理の考え方が必要になる場面でもあります。基本的には「賃借料」としてシンプルに処理できるケースがほとんどですが、契約金額が大きい場合や契約内容に所有権移転の条項がある場合は、資産計上が必要かどうかを契約書でよく確認し、判断に迷ったら顧問税理士に相談しながら進めましょう。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。リース取引の会計上・税務上の分類(ファイナンス・リースかオペレーティング・リースか)や、消費税の仕入税額控除のタイミングなど、個別の契約内容によって判断が異なる場合がありますので、具体的な処理方法は顧問税理士や税務署にご確認ください。

【筆者プロフィール】現役監査法人勤務の公認会計士。CPAラボ(cpalabo.com)にて会計・簿記・キャリア・お金に関する情報を発信中。