米国株(個別株)の始め方|インデックス投資に慣れた初心者が知っておきたい注意点を公認会計士が解説
新NISAでインデックス型投資信託の積立を始めてから数年、少しずつ資産が育ってきた実感が出てくると、「そろそろ名前を知っている米国の有名企業の株にも挑戦してみたい」と感じ始める方が増えてきます。SNSや投資系のニュースでも米国の有名企業の株価・決算の話題を目にする機会は多く、インデックス投資に慣れてきたタイミングだからこそ、次のステップとして個別株が気になるのは自然な流れです。
ただし、個別株投資はインデックス投資とはリスクの性質が大きく異なります。何となく気になる企業の株を勢いで買ってしまう前に、インデックス投資と何が違うのか、なぜ個別株は「リスクが高い」と言われるのか、そして具体的にどう始めればいいのかを整理しておくことが大切です。
この記事では、公認会計士が新NISAでの積立投資に慣れてきた方に向けて、米国個別株投資の始め方を、インデックス投資との違い・リスクの考え方から、新NISAでの購入方法、証券口座開設の具体的な手順、為替手数料や外国税額控除といった米国株特有の注意点まで、順番にわかりやすく解説します。
なお、本記事はあくまで米国個別株投資の始め方・考え方を解説するものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。紹介する制度の数字や手数料の水準は執筆時点の情報のため、実際に投資を始める前には金融庁や各証券会社の公式サイトで最新情報を確認してください。
まだ新NISAの制度や始め方に不安がある方は、先にこちらの記事で全体像を確認しておくと、この後の内容がより理解しやすくなります。
インデックス投資と個別株投資は何が違うのか
同じ「株式に投資する」という行為でも、インデックス投資と個別株投資では投資の性質が大きく異なります。まずはこの違いを整理しておきましょう。
インデックス投資は「まとめて分散」、個別株投資は「1社を選ぶ」投資
新NISAのつみたて投資枠などで購入するインデックス型投資信託(市場全体の値動きを示す指数に連動することを目指す投資信託)は、1本購入するだけで、S&P500(米国の代表的な500社の株価指数)であれば約500社、全世界株式であれば数千社に、自動的に分散投資できる商品です。個別の企業を自分で選ぶ必要がなく、値動きも市場全体の平均に近いかたちで推移します。
一方、個別株投資は、その名のとおり特定の1社の株式を選んで購入する投資方法です。アップルやコカ・コーラ、マクドナルドのように、日本でも馴染みのある米国企業の株式を、証券会社を通じて直接購入できます(ここで挙げた企業名は、個別株がどのようなものかをイメージしていただくための一例であり、特定の銘柄への投資を勧めるものではありません)。インデックス投資が「市場全体に薄く広く投資する」方法だとすれば、個別株投資は「特定の1社に集中して投資する」方法だと言えます。
リターンの振れ幅(ボラティリティ)が大きくなる
投資対象を1社に絞り込むということは、良くも悪くも、その企業の業績や株価の動きが、そのままダイレクトに自分の資産に反映されるということでもあります。
インデックス投資信託の場合、仮に構成銘柄の1社が大きく値下がりしても、他の数百〜数千社が値動きを吸収してくれるため、投資信託全体の値下がり幅は限定的です。一方、個別株投資では、購入した1社の株価が大きく上昇すればインデックス投資信託を上回るリターンを得られる可能性がある反面、その企業の業績が悪化したり、最悪の場合は経営が破綻したりすれば、投資した金額の大部分、あるいは全額を失う可能性もゼロではありません。
このように、個別株投資はインデックス投資に比べてリターンの振れ幅(ボラティリティ、値動きの大きさを表す言葉)が大きくなりやすいという特徴があります。「大きく増える可能性がある代わりに、大きく減る可能性もある」という表裏一体の関係を理解しておくことが、個別株投資を始める第一歩です。
なぜ個別株は「リスクが高い」とされるのか―分散が効いていないという視点
投資の世界で個別株が「リスクが高い」と言われる背景には、分散投資が効きにくいという共通点があります。具体的にどのような場面でリスクが表れるのか、3つの観点から見ていきましょう。
集中投資のリスク―1社の業績・経営環境がダイレクトに影響する
投資の世界には「卵は一つのカゴに盛るな」という有名な格言があります。すべての卵(資産)を一つのカゴ(投資先)に入れてしまうと、そのカゴを落としたときにすべての卵が割れてしまう、という意味で、資産を複数の投資先に分けておくことの重要性を表した言葉です。
個別株投資、とりわけ1〜2銘柄に集中して投資するスタイルは、この「分散」が効いていない状態にあります。どれだけ有名で業績の良い企業であっても、将来にわたって業績が良い状態が続く保証はありません。競合他社の台頭、技術革新への対応の遅れ、不祥事、経営判断の誤りなど、1社の株価を大きく下落させる要因は数多く存在します。インデックス投資信託であれば、こうした要因が特定の1社に生じても資産全体への影響は限定的ですが、個別株に集中投資している場合は、そのリスクをダイレクトに引き受けることになります。
為替変動リスクも加わる
米国株に投資するということは、円をドルに交換して、ドル建ての資産を保有するということでもあります。そのため、株価そのものが変動するリスクに加えて、円とドルの為替レートが変動するリスク(為替変動リスク)も上乗せされます。
たとえば、保有している米国株の株価(ドル建て)が変わらなくても、円安(1ドルあたりの円の価値が下がること)が進めば、円に換算した資産評価額は増えます。逆に円高(1ドルあたりの円の価値が上がること)が進めば、株価が同じでも円換算の資産評価額は減ってしまいます。この為替変動の影響は米国株に投資するインデックス型投資信託にも共通しますが、個別株投資では株価そのものの値動きが大きくなりやすい分、為替変動と重なったときの資産評価額の振れ幅もより大きくなりやすい点に注意が必要です。
情報の非対称性―決算やニュースが基本的に英語である
日本企業の個別株であれば、決算短信や有価証券報告書、ニュースなどの情報の多くを日本語でそのまま入手できます。しかし米国企業の場合、決算資料(10-Kや10-Qと呼ばれる書類など)や適時開示、経営陣のコメントなどは基本的に英語で公表されます。
日本語の要約記事やニュースで情報を得ることもできますが、一次情報(企業が直接公表する情報)を確認しようとすると、英語の読解が必要になる場面が増えます。この情報収集のハードルの高さも、米国個別株投資が難易度の高い投資とされる理由の一つです。
米国個別株は新NISAで買えるのか
結論から言うと、米国個別株は新NISAの「成長投資枠」を使って購入できます。ここでは、新NISAでの取り扱いを制度面から確認していきましょう。
成長投資枠の対象(つみたて投資枠は対象外)
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠がありますが、個別株が対象になるのは成長投資枠のみで、つみたて投資枠では個別株を購入できません(つみたて投資枠は、金融庁が定めた基準を満たす一定の投資信託に限定されています)。
つみたて投資枠でインデックス型投資信託を積み立てながら、成長投資枠で米国個別株にも挑戦する、という組み合わせが、新NISAを活用した基本的な考え方になります。
非課税保有限度額のうち成長投資枠の上限は1,200万円
新NISAには、生涯にわたって非課税で投資できる金額の上限(非課税保有限度額、いわゆる「生涯投資枠」)があり、執筆時点では合計1,800万円です。このうち、成長投資枠として使える金額には、1,200万円という別枠の上限が設けられています。つまり、米国個別株を含む成長投資枠での投資は、最大でも1,200万円までが非課税保有の対象になるということです。制度の数字は将来見直される可能性もあるため、最新の内容は金融庁の公式サイトでも確認しておくと安心です。
配当金・売却益が非課税になる仕組み
成長投資枠で購入した米国個別株から得られる配当金や、売却して得た利益(譲渡益)は、新NISAの非課税メリットの対象になります。通常、株式投資で得た利益には合計約20%の税金がかかりますが、新NISA口座内であれば、この税金がかかりません。ただし、米国株の配当については、後述するとおり米国側での源泉徴収が別途発生する点には注意が必要です。
米国個別株の始め方4ステップ
米国個別株投資を始めるための実際の手順を、4つのステップに分けて解説します。
ステップ1:証券会社を選ぶ(取扱銘柄数の違いに注意)
米国個別株投資を始めるには、まず証券会社を選ぶ必要があります。ここで意外と見落とされがちなのが、米国株の取扱銘柄数は証券会社によって差があるという点です。楽天証券・SBI証券のような大手ネット証券は5,000銘柄を超える米国株を取り扱っている一方、証券会社によっては取扱銘柄数が数百〜2,000銘柄程度にとどまるところもあります。
「気になっていたあの企業の株が、口座を開設した証券会社では取り扱っていなかった」ということにならないよう、口座開設前に取扱銘柄数や、投資したいと考えている企業が対象になっているかを確認しておくとよいでしょう。証券会社ごとの特徴やサービスの違いについては、以下の記事でも詳しく比較していますので、あわせて参考にしてください。
ステップ2:証券総合口座・NISA口座・外国株取引口座を開設する
証券会社を決めたら、証券総合口座とNISA口座を開設します。すでに新NISA口座を持っている方は、この段階はすでに完了しているはずです。
米国株投資を始めるにあたっては、これらに加えて「外国株取引口座」(外国株式取引口座と呼ばれることもあります)の開設が別途必要になる証券会社が一般的です。多くのネット証券では、スマートフォンやパソコンから追加の申し込みをするだけで、数日程度で取引を始められるようになります。手続きの詳細は証券会社によって異なるため、口座開設時に案内される手順に沿って進めましょう。
ステップ3:円をドルに両替する(為替手数料の基礎知識)
米国株を購入するには、基本的に円をドルに両替する必要があります(証券会社によっては、注文のたびに自動で両替してくれる方法も選べます。詳しくは次のステップで解説します)。
この円とドルを両替する際にかかるコストを「為替手数料」と呼びます。為替手数料は、金融機関が提示する「買いたい人向けの価格」と「売りたい人向けの価格」の差(スプレッド)というかたちで発生することが一般的で、伝統的には1ドルあたり片道25銭程度が一つの目安とされてきました。
近年は、多くのネット証券が「リアルタイムでの為替取引」機能などを提供しており、条件によっては為替手数料を抑えられるケースも増えています。ただし、対象となる取引方法や条件は証券会社によって異なり、内容も随時見直されているため、実際に両替する前には、利用する証券会社の公式サイトで最新の為替手数料を確認することをおすすめします。両替のタイミングや方法によって、長期的に見ると手数料負担に差が出てくる点も覚えておきましょう。
ステップ4:銘柄を選んで注文する(円貨決済・外貨決済)
両替が済んだら、いよいよ銘柄を選んで注文します。米国株の注文方法には、大きく分けて「円貨決済」と「外貨決済」の2種類があります。
| 決済方法 | 円貨決済 | 外貨決済 |
|---|---|---|
| 両替のタイミング | 注文のたびに証券会社が自動で円をドルに両替する | あらかじめ自分でドルに両替してから注文する |
| 必要な準備 | 口座に日本円があればすぐ注文できる | 事前にドルへの両替が必要 |
| 為替コストの目安 | 注文時点で証券会社が設定するレートが適用される | 両替のタイミング・方法を自分で選べる分、コストを抑えやすい場合がある |
| 向いている人 | 手軽に始めたい人、少額から試したい人 | 為替コストをできるだけ抑えたい人 |
なお、米国株には、日本株のような「単元株制度」(通常100株単位でしか売買できない制度)がなく、1株単位で購入できるという特徴があります。株価が数百ドル(数万円)する銘柄でも1株から購入できるため、日本の個別株に比べて少額から始めやすい点は、初心者にとって嬉しいポイントです。
米国株ならではの注意点―税金と取引時間
ここでは、米国株に投資する際に特有の、税金の仕組みと取引時間の違いについて解説します。
配当への課税と外国税額控除の仕組み
米国株の配当金には、まず米国側で税金が源泉徴収されます。日米の租税条約により、日本の居住者が受け取る米国株の配当については税率が10%に軽減されており、多くの場合、証券会社が自動的にこの軽減税率を適用してくれます。
課税口座(特定口座・一般口座)で米国株を保有している場合、この米国での源泉徴収に加えて、日本国内でも配当所得として約20.315%(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)の税金がかかります。何もしなければ、米国と日本の両方で税金を負担する、いわゆる二重課税の状態になってしまいます。
この二重課税を調整するための制度が「外国税額控除」です。確定申告でこの制度の適用を受けることで、米国で源泉徴収された税額のうち一定の範囲を、日本国内で納める税金から差し引くことができます。ただし、控除できる金額には、その年の所得税額などをもとにした上限があり、源泉徴収された税額の全額が必ず戻ってくるとは限らない点には注意が必要です。
課税口座とNISA口座で、配当にかかる税負担がどう変わるかを整理すると、次のとおりです。
| 比較項目 | 課税口座(特定口座など) | NISA口座(成長投資枠) |
|---|---|---|
| 日本国内での課税 | 配当・譲渡益に約20.315% | 非課税 |
| 米国での源泉徴収(配当) | 10%(租税条約による軽減税率) | 10%(同左) |
| 外国税額控除の適用 | 確定申告により一定範囲で適用可能 | 対象外(次の項目で解説) |
| 売却益(譲渡益)への米国課税 | 原則なし | 原則なし |
なお、株式を売却して得た利益(譲渡益・キャピタルゲイン)については、米国側での源泉徴収は原則としてないため、配当のような二重課税の問題は生じません。二重課税と外国税額控除の話は、あくまで「配当」を受け取ったときに関係してくるものだと理解しておきましょう。
NISA口座では外国税額控除が使えない点に注意
ここで、新NISAでの積立投資に慣れてきた方が特に誤解しやすいポイントを確認しておきます。それは、NISA口座で保有している米国株の配当については、外国税額控除を使えないということです。
外国税額控除は、そもそも「日本国内でも税金がかかること」を前提に、その二重課税分を調整するための制度です。NISA口座内の配当は日本国内では非課税として扱われるため、差し引くべき日本の税金自体が存在せず、外国税額控除の出番がありません。
その結果、NISA口座で米国株の配当を受け取ると、日本国内の税金はかかりませんが、米国で源泉徴収された10%分は外国税額控除によって取り戻すことができず、実質的なコストとして残ります。とはいえ、課税口座であれば発生する日本国内の約20.315%の税金がかからない分、トータルで見た税負担はNISA口座のほうが軽くなるのが一般的です。「NISAだから配当金にまつわる税金は一切かからない」というわけではない、という点を理解したうえで活用しましょう。
取引時間は日本時間の夜間〜深夜になる
米国株式市場(ニューヨーク証券取引所やナスダック)の立会時間は、現地時間の午前9時30分から午後4時までです。日本時間に置き換えると、米国のサマータイム(夏時間)の期間はおおむね22時30分から翌朝5時ごろ、冬時間の期間はおおむね23時30分から翌朝6時ごろが取引時間の目安になります(サマータイムの開始・終了時期は年によって多少前後します)。
つまり、リアルタイムで値動きを見ながら売買しようとすると、日本時間の夜間〜深夜が中心になるということです。多くの証券会社では、日本時間の日中のうちに翌日の取引時間に約定させる注文をあらかじめ出しておく仕組みが用意されているため、必ずしも深夜に起きている必要はありませんが、取引時間帯が日本株と大きく異なる点は、あらかじめ理解しておきましょう。
個別株投資を始める前に持っておきたい3つの心構え
最後に、実際に個別株投資を始める前に持っておきたい心構えを3つ紹介します。
インデックス投資を「土台」に、個別株は余裕資金の一部で
ここまで解説してきたとおり、個別株投資はインデックス投資に比べてリスクの振れ幅が大きく、為替や税金の面でも米国株特有の注意点があります。だからこそ、いきなり個別株に資産の大部分を投じるのではなく、あくまでインデックス型投資信託への積立投資を資産形成の「土台」としたうえで、余裕資金の一部で個別株に挑戦する、というスタンスが基本的な考え方になります。
ここでいう余裕資金とは、生活費や、生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分程度が目安とされます)、近い将来に使う予定のあるお金を除いた、当面使わないお金を指します。仮に個別株の評価額が大きく下落したり、最悪の場合ゼロになったりしても、生活に支障が出ない範囲にとどめておくことが、個別株投資と長く付き合っていくための前提条件です。
配当収入に魅力を感じている場合は、個別株1〜2銘柄に集中するのではなく、複数銘柄に分散された高配当ETF(上場投資信託)を選択肢に入れる考え方もあります。国内の高配当ETFについては、以下の記事で具体的な銘柄比較を交えて解説していますので、あわせて参考にしてください。
「知っている企業だから」で選ばない
個別株投資を始めようとするとき、「よく知っている企業だから」「普段から製品を使っているから」という理由だけで銘柄を選んでしまうケースは少なくありません。しかし、企業への親しみやすさと、投資対象としての魅力は必ずしも一致しません。
知っている企業であっても、投資を検討する際には、その企業がどのようなビジネスで収益を上げているのか、財務状況はどうか、今後の成長性や競合環境はどうかといった点を、決算資料や企業のIR(投資家向け広報)情報などを通じて、自分なりに確認する姿勢が大切です。この確認作業には、インデックス投資にはない時間と手間がかかることも、個別株投資を始める前に理解しておきたいポイントです。
特定の銘柄・業種に資産を集中させすぎない
個別株投資に慣れてきて、複数の銘柄を保有するようになった場合も、特定の銘柄や業種に資産が偏りすぎていないかを、定期的に確認する習慣を持つことをおすすめします。同じ業種の企業を何社も保有していると、一見銘柄数は分散されているように見えても、その業種特有の逆風(規制強化や需要の落ち込みなど)を受けたときに、資産全体が同じように値下がりしてしまう可能性があります。
保有銘柄が増えてきたら、業種や地域(米国株だけでなく日本株や他の国の資産も含めて)のバランスを意識することが、個別株投資においても分散効果を高めるポイントです。
米国個別株投資でよくある失敗(公認会計士としての視点で解説)
米国個別株投資を始めたあとに、初心者が陥りやすい失敗パターンを、公認会計士としての視点で整理します。
- 知名度や話題性だけで銘柄を選び、財務内容を確認しない:ニュースやSNSで話題になっている、あるいは自分がよく利用しているというだけの理由で銘柄を決めてしまうと、実際の業績や財務状況を把握しないまま投資することになりがちです。最低限、決算資料やIR情報には目を通す習慣をつけましょう。
- 1〜2銘柄に資産を集中させてしまう:個別株投資に慣れてくると、値上がりした銘柄にさらに資金を追加したくなることがありますが、資産の大部分を少数の銘柄に集中させると、分散投資のメリットが失われます。資産全体に占める個別株の比率や、銘柄ごとの偏りを定期的に確認しましょう。
- 短期的な値動きに反応して売買を繰り返す:個別株はインデックス投資信託に比べて値動きが大きくなりやすいため、日々の株価に一喜一憂して売買を繰り返してしまう方も少なくありません。感情的な売買は、手数料負担の増加や、高値づかみ・安値売りにつながりやすいため注意が必要です。
- 為替のタイミングを考えずに、一度に大きな金額を両替してしまう:円をドルに両替するタイミングによって、その後の資産評価額は大きく変わります。一度にまとめて両替するのではなく、両替のタイミングを分散させる、購入のたびに少しずつ両替するといった工夫も検討に値します。
- NISA口座でも外国税額控除が使えると誤解する:前述のとおり、NISA口座では日本国内の税金がかからない代わりに、外国税額控除の対象にはなりません。「NISAだから配当金の税金は一切気にしなくていい」という誤解をしたまま確定申告の要否を判断しないよう注意しましょう。
- 生活防衛資金や近い将来使うお金まで個別株に回してしまう:個別株はインデックス投資信託以上に値動きが大きくなる可能性があるため、当面使う予定のない余裕資金の範囲で行うことが大前提です。急にお金が必要になったタイミングで株価が下落していると、損失を確定させて売却せざるを得なくなる可能性があります。
まとめ:個別株投資は「インデックスの次の一歩」として
米国個別株の始め方について、本記事のポイントを整理します。
- インデックス投資は数百〜数千社に自動で分散投資できる一方、個別株投資は1社に投資を集中させる方法であり、リターンの振れ幅(ボラティリティ)が大きくなりやすい
- 個別株が「リスクが高い」とされるのは、集中投資による分散の効かなさに加えて、為替変動リスクや、決算・ニュースが基本的に英語であるという情報面のハードルが理由
- 米国個別株は新NISAの成長投資枠(非課税保有限度額のうち上限1,200万円)で購入でき、配当金・売却益が非課税になるが、つみたて投資枠では購入できない
- 始め方は、証券会社選び(取扱銘柄数に注意)→口座開設(外国株取引口座を含む)→円をドルに両替→銘柄を選んで注文、という4ステップ
- 米国株の配当には現地で10%の源泉徴収があり、課税口座では確定申告により外国税額控除で一定範囲を取り戻せるが、NISA口座では対象外になる点に注意が必要
- いきなり個別株に資産を集中させるのではなく、インデックス投資を土台にしたうえで、余裕資金の一部で挑戦するのが基本的な考え方
新NISAでのインデックス投資に慣れてきたタイミングは、投資の視野を広げる良い機会です。ただし、個別株投資はインデックス投資とはリスクの性質が異なることを理解したうえで、あくまで資産形成の土台はインデックス投資に置きながら、無理のない範囲で少しずつ挑戦していくことをおすすめします。投資に関するその他の疑問については、以下の記事でも取り上げていますので、あわせて参考にしてください。
※本記事は一般的な情報を解説するものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己判断・自己責任で行い、実際の投資判断や税務上の取り扱いについては、最新の情報を金融庁・国税庁・各証券会社の公式サイトで確認するか、必要に応じて税理士などの専門家にご相談ください。
【筆者プロフィール】現役監査法人勤務の公認会計士。CPAラボ(cpalabo.com)にて会計・簿記・キャリア・お金に関する情報を発信中。



