新NISAの取り崩し方・出口戦略完全ガイド|いつ・どの順番で売ればいいかを公認会計士が解説
新NISAで積立投資を始めてから数年が経ち、資産が少しずつ育ってきた——そんな実感を持てるようになると同時に、「そろそろ取り崩す(売って現金化し、引き出す)ことも考えておいたほうがいいのだろうか」「いつから、どうやって売っていけばいいのかわからない」と感じ始める方も増えてきています。
新NISAは、投資で得た利益が非課税になる制度で、非課税で保有できる期間に期限がないという特徴があります。この「無期限」という制度設計のおかげで、旧NISAのように「〇年以内に売らなければならない」という制約からは解放された一方、裏を返せば「いつ・どうやって売るか」を誰かが決めてくれるわけではなく、自分自身で考える必要があるということでもあります。
この記事では、公認会計士が新NISAの「出口戦略」——つまり、積み立てた資産をいつから、どのような順番で、どれくらいのペースで取り崩していくかという考え方——を、投資初心者にもわかりやすく整理して解説します。定率取り崩し・定額取り崩し・バケット戦略といった代表的な考え方に加えて、「4%ルール」がどこまで参考になるのかについても、公認会計士としての視点から冷静に解説します。
なお、この記事は「これから新NISAを始めたい」という方向けではなく、すでに新NISAで積立・投資をしていて、将来の取り崩しを意識し始めた方向けの内容です。新NISAの制度の基本や始め方をまだ確認していない方は、先に以下の記事もあわせてご覧ください。
本記事で紹介する取り崩し方の考え方や制度の数字(非課税保有限度額など)は執筆時点の情報です。将来のリターンや資産の寿命を保証するものではなく、税制が改正される可能性もあるため、実際の取り崩し計画はご自身の資産状況やライフプランに応じて検討し、最新の制度内容は金融庁や証券会社の公式サイトで確認してください。
新NISAに「出口戦略」が必要な理由
非課税保有期間が無期限だからこそ、「いつ・どう売るか」は自分で決める必要がある
新NISAの大きな特徴の一つが、非課税で商品を保有できる期間に期限がない(無期限化されている)ことです。旧NISAの一般NISAは非課税期間が5年間、つみたてNISAは20年間と決まっており、期限が近づくと「売却するか」「課税口座に移すか」といった判断を迫られる場面がありました。
新NISAではこうした期限がないため、極端に言えば一生涯、売らずに持ち続けることも可能です。この柔軟性は大きなメリットですが、同時に「では、いつ売ればいいのか」という問いに対する答えを、制度側が用意してくれるわけではないということでもあります。だからこそ、自分の人生設計に合わせて、取り崩しのタイミングや方法をあらかじめ考えておく「出口戦略」が重要になります。
iDeCoとの違い:年齢の制限なく、いつでも引き出せる柔軟性
新NISAと並んでよく比較される制度に、iDeCo(個人型確定拠出年金)があります。iDeCoは老後資金づくりに特化した制度で、原則として60歳になるまで積み立てたお金を引き出すことができません。掛金を積み立てる時期・受け取れる時期があらかじめ制度で決められているため、出口(受け取り方)を考えるタイミングも、ある程度制度側で規定されています。
一方、新NISAには年齢による引き出し制限が一切なく、いつでも自分の好きなタイミングで売却し、引き出すことができます。この自由度の高さが新NISAの魅力である反面、「いつ・どれくらい取り崩すか」をすべて自分で判断しなければならない、という側面も持ち合わせています。iDeCoの制度や始め方については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
取り崩す前に確認しておきたい新NISAの制度の特徴
非課税保有期間は無期限―「〇年で売らなければならない」制約はない
繰り返しになりますが、新NISAで保有している商品は、売却しない限りずっと非課税のまま持ち続けられます。相場が一時的に下落しているタイミングで、「非課税期間が終わってしまうから」という理由で慌てて売る必要はありません。この点は、これから取り崩し時期を検討するうえでの大前提として押さえておきましょう。
売却した非課税枠(生涯投資枠)は取得価額ベースで翌年以降に復活する
新NISAには、生涯にわたって非課税で投資できる上限額(非課税保有限度額、いわゆる「生涯投資枠」)が設けられており、執筆時点では合計1,800万円です。この生涯投資枠は、保有している商品を売却すると、売った分の枠が翌年以降に再び使えるようになる(復活する)という仕組みになっています。
ここで注意したいのが、復活する枠の金額は「売却した金額(時価)」ではなく、「購入したときの金額(取得価額、簿価とも呼ばれます)」を基準に計算されるという点です。たとえば100万円で購入した商品が値上がりして150万円になったタイミングで売却した場合、復活する非課税枠は売却額の150万円ではなく、取得価額である100万円分にとどまります。値上がり益が大きいほど、売却額と復活する枠の金額との差が大きくなる点を理解しておきましょう。
年間投資枠は「その年のうち」には復活しない
もう一つ間違えやすいのが、年間投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円、合計360万円が上限)は、売却してもその年のうちには復活しないという点です。非課税枠が復活するのはあくまで翌年以降であり、「今年売った分を、今年また買い直せる」わけではありません。取り崩しながら一部を再投資するような使い方を考えている場合は、このタイムラグを踏まえておく必要があります。
新NISAはいつから取り崩すべきか
「年齢」ではなく「使う目的・時期」から逆算する
新NISAには、iDeCoのような「〇歳から」という受け取り開始年齢の決まりがありません。そのため、「何歳になったら取り崩す」という年齢基準ではなく、「そのお金を何のために、いつ使うのか」という目的から逆算して考えるのが基本的な考え方です。たとえば、次のようなイメージです。
- 数年後に予定している住宅購入の頭金や、子どもの教育資金として使う予定がある
- 60代以降、公的年金だけでは不足する生活費を補うために取り崩したい
- 特に使う予定は決まっていないが、資産の一部を旅行や趣味など人生を楽しむための支出に回したい
使う目的・時期が明確であるほど、取り崩しの計画も立てやすくなります。
近い将来(目安5年以内)に使うお金は、値動きの影響を抑えた資産に移していく
株式や投資信託は、短期的には大きく値下がりする可能性がある資産です。そのため、数年以内に使う予定が決まっているお金については、使う時期が近づくにつれて、値動きの影響を受けにくい預金などに段階的に移していく考え方が一般的です。目安として、「3〜5年以内に使うお金は、値動きのある資産で持ち続けない」という考え方を紹介している専門家も多く見られます。
いざ使おうと思ったタイミングでちょうど相場が下落していた、という事態を避けるためにも、使う時期が近づいている資金は早めに現金化を検討しておくと安心です。
老後資金として取り崩すなら、公的年金の受給開始時期も踏まえて考える
老後の生活費を補う目的で新NISAを取り崩す場合は、公的年金の受給が始まる時期や見込み額も踏まえて、いつからどれくらい取り崩す必要があるのかを考えることが大切です。自分の年金の見込み額や、老後に必要になりそうな金額の考え方については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
取り崩す順番の考え方―何から売ればいいか
値上がりした資産から売る考え方
複数の商品を保有している場合、値上がりして含み益が大きい資産から売るという考え方があります。利益が乗っている資産を売ることで、その利益を確定させられるというシンプルさが特徴です。
ただし、値上がりした資産ばかりを売り続けると、結果的に値下がりしている(相対的に割安な)資産の比率がポートフォリオ(保有資産の組み合わせ)の中でどんどん高まっていき、当初想定していた資産配分から大きく崩れてしまう可能性がある点には注意が必要です。
一定割合ずつ機械的に売る(リバランスを兼ねる)考え方
もう一つの考え方が、保有している商品の値上がり・値下がりにかかわらず、あらかじめ決めた比率に沿って機械的に売っていく方法です。たとえば、複数の投資信託を保有している場合に、それぞれの保有比率を維持したまま同じ割合で売却していくイメージです。
この方法は、値動きに応じて「どれを売るか」をそのつど判断する必要がなく、感情に左右されにくいという特徴があります。資産配分の比率を維持する(リバランスする)効果も兼ね備えているため、初心者にとっては始めやすい考え方の一つといえるでしょう。
新NISAには「損出し」の節税メリットがない点に注意
課税口座(特定口座・一般口座)で投資をしている場合、あえて含み損の出ている商品を売って損失を確定させ、他の利益と相殺する「損益通算」や、確定申告をすることで損失を翌年以降に繰り越せる「繰越控除」という節税の仕組みを使うことができます。
一方、新NISA口座は、税務上そもそも利益も損失もなかったものとして扱われるため、NISA口座内で損失が出ていても、他の口座の利益と損益通算することはできず、繰越控除も使えません。そのため、「税金を減らすために、あえて含み損の商品から売る」という判断は、新NISA口座においては意味を持たないことになります。何を売るかは、純粋に今後の資産配分や資金計画の観点から検討すればよいということです。
コア資産は残し、サテライト部分から取り崩す考え方
インデックス型投資信託を中心とした「コア(核)」資産と、個別株やテーマ型投資信託などの「サテライト(衛星)」資産を組み合わせて保有している方であれば、まずはサテライト部分から取り崩し、コア資産はできるだけ長く保有し続けるという考え方もあります。コア資産は分散が効いており長期的な資産形成の土台となる部分であるため、優先して残しておきたいと考える方に向いた方法です。
取り崩しペースの考え方―定額取り崩しと定率取り崩し
定額取り崩しとは?メリット・デメリット
定額取り崩しとは、「毎月10万円」「毎年60万円」のように、決まった金額を定期的に売却して取り崩していく方法です。毎回受け取れる金額が一定で家計管理がしやすいというメリットがある一方、相場が下落して資産の残高が減っているときも同じ金額を売り続けるため、残高の減るペースが速くなりやすいというデメリットがあります。
定率取り崩しとは?メリット・デメリット
定率取り崩しとは、「そのときの残高の4%」のように、資産残高に対して決まった割合を定期的に売却していく方法です。相場が下落して残高が減れば売る金額も自動的に減るため、資産が完全にゼロになりにくいというメリットがあります。一方で、相場状況によって毎回受け取れる金額が変動するため、生活費など決まった金額を見込みたい場合には使いにくい面があります。両者の違いを整理すると、次のとおりです。
| 比較項目 | 定額取り崩し | 定率取り崩し |
|---|---|---|
| 売る金額の決め方 | 毎回、決まった金額を売却する(例:毎月10万円) | 毎回、そのときの残高に対して決まった割合を売却する(例:年4%) |
| 毎回受け取る金額 | 一定で家計管理がしやすい | 残高に応じて変動する |
| 下落局面での資産の減り方 | 残高が減っても同じ金額を売り続けるため、資産が想定より早く減りやすい | 残高が減れば売る金額も減るため、資産が尽きにくい |
| 向いている人 | 毎月の生活費など、決まった金額の受け取りを重視したい人 | 資産をできるだけ長持ちさせたい人 |
どちらか一方が絶対的に優れているわけではありません。生活費の何割を取り崩し分でまかなうかによって定額寄りにするか、資産の寿命を優先して定率寄りにするかを検討するとよいでしょう。最低限の生活費相当は定額で、それ以外の余裕資金の部分は定率で取り崩す、といったように組み合わせて考える方法もあります。
「4%ルール」とは何か―目安として知っておきたい考え方
取り崩しペースを考えるうえでよく紹介されるのが「4%ルール」という考え方です。1994年にファイナンシャルプランナーのウィリアム・ベンゲン氏が発表した研究がもとになっているとされ、1998年に米トリニティ大学の研究者らが発表した研究(トリニティスタディ)によってさらに広く知られるようになりました。米国の株式・債券を組み合わせたポートフォリオの過去の運用実績データをもとにシミュレーションしたところ、引退時の資産の4%を初年度に取り崩し、2年目以降は物価上昇(インフレ)に応じて取り崩す金額を調整していくペースであれば、多くのケースで30年間、資産が尽きなかったという研究結果が示されています。
ここで一点、誤解しやすいポイントがあります。4%ルールの本来の考え方は、「毎年、そのときの残高の4%を売る」という定率取り崩しではなく、「初年度の資産額の4%」という金額を基準に、その後は物価上昇分だけ金額を調整していくという、どちらかといえば定額取り崩しに近い考え方です。日本語で紹介される際には、わかりやすさを優先して「資産の4%を目安に取り崩す」と簡略化されていることが多く、本記事でもその意味合いで紹介しています。
4%ルールは、取り崩しペースを考えるうえで一つの参考になる目安ですが、次のような点には注意が必要です。
- 米国の株式市場の過去のデータをもとにした研究であり、将来のリターンや日本の市場環境にそのまま当てはまるとは限らない
- 前提とする資産配分(株式中心)や取り崩し期間(30年)が異なれば、安全とされる取り崩し率も変わりうる
- あくまで過去のデータに基づく目安であり、将来にわたって資産が尽きないことを保証するものではない
「4%」という数字を絶対のルールとして鵜呑みにするのではなく、自分の資産配分やリスク許容度、必要な生活費に応じて、取り崩し率を調整する際の出発点の一つとして捉えるのが、公認会計士としての実務的な考え方です。
配当・分配金を中心に据える考え方(インカムゲイン戦略)
ここまで紹介した方法とは少し異なるアプローチとして、値上がり益(キャピタルゲイン)を狙って保有商品そのものを売却するのではなく、配当金や分配金(インカムゲイン)を生活費などに充て、保有している商品自体はできるだけ売らずに持ち続けるという考え方もあります。高配当株式や高配当ETF(上場投資信託)を組み合わせて保有し、定期的に受け取る配当金・分配金を取り崩しの代わりにするイメージです。この考え方に関心のある方は、以下の記事で国内の高配当ETFについても詳しく解説していますので、参考にしてください。
ただし、配当・分配金を出す銘柄が必ずしも値上がり益も期待できるとは限らず、企業の業績によっては減配・無配になるリスクもあります。特定の銘柄や業種に偏りすぎないよう、分散を意識することが大切です。
下落局面でも慌てないための「バケット戦略」
バケット戦略とは―3つの財布にお金を分ける考え方
バケット戦略(バケツ戦略)とは、保有する資産を「いつ使うか」という時間軸で複数のグループ(バケツ)に分けて管理する考え方です。代表的には、次の3つのバケツに分ける方法が紹介されています。
| バケツ | 主な使いみち・時期の目安 | 置き場所の例 |
|---|---|---|
| 短期バケツ | 1〜3年程度で使う生活費など | 預金など値動きのない資産 |
| 中期バケツ | 3〜10年程度で使う予定の資金 | 債券中心など、比較的値動きを抑えた運用 |
| 長期バケツ | 10年以上先まで使わない資金 | 株式・インデックス型投資信託などの成長資産 |
バケット戦略の一番のメリットは、相場が大きく下落した局面でも、直近の生活費は短期バケツ(値動きのない預金など)でまかなえるため、値下がりしている長期バケツの資産を慌てて売る必要がないという点です。相場の回復を待つだけの時間を稼げることが、精神的な安心にもつながります。
新NISAでバケット戦略を取り入れる際の考え方
バケット戦略は、もともとまとまった資産規模を持つ方の資産管理手法として紹介されることが多い考え方ですが、考え方自体は新NISAで積み立てた資産にも応用できます。たとえば、新NISA内の資産を「当面使わない長期バケツ」と位置づけたうえで、生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分程度が目安とされます)や近い将来使う予定の資金は、新NISAとは別に預金などで確保しておく、という組み合わせ方が考えられます。
いきなり厳密にバケツを3つに分けなくても、「今すぐ使うお金」「数年以内に使うお金」「当分使わないお金」という大まかな時間軸で資産を仕分けてみるだけでも、取り崩し計画を考えるうえでの一つの整理軸になるはずです。
取り崩しを仕組み化する―証券会社の「定期売却サービス」
定額・定率・期間指定という3つの売却方法
「毎回、自分で売却の注文を出すのは面倒」「機械的に淡々と取り崩していきたい」という方向けに、主要なネット証券では、保有している投資信託を対象に、決まったタイミングで自動的に売却してくれる「定期売却サービス」を提供していることがあります。多くの場合、次のような指定方法から選べます。
- 定額指定:毎回、決まった金額分を売却する
- 定率指定:毎回、保有口数(または残高)に対して決まった割合を売却する
- 期間指定:あらかじめ決めた期間で保有資産を均等に取り崩すように売却する
たとえばSBI証券では、2025年12月から投資信託の定期売却サービスが拡充され、従来の定額指定に加えて定率指定・期間指定にも対応し、NISA口座でも利用できるようになりました。楽天証券をはじめ他のネット証券でも、同様の定期売却の仕組みを提供しているところがあります。
NISA口座での対応状況は証券会社によって異なる
注意したいのは、定期売却サービスの対象となる口座(NISA口座を含むかどうか)や対象商品(投資信託が中心で、個別株・ETFは対象外であることが多い)、つみたて投資枠・成長投資枠それぞれへの対応状況が、証券会社によって異なり、サービス内容も随時更新されているという点です。すでに新NISA口座を持っている方は、口座を開設している証券会社の公式サイトで、定期売却サービスの対応状況を確認してみるとよいでしょう。証券会社ごとのサービス内容の違いについては、以下の記事でも取り上げていますので、あわせて参考にしてください。
新NISAの取り崩しでよくある失敗(公認会計士としての視点で解説)
新NISAの取り崩しを検討する際に、初心者が陥りやすい失敗パターンを、公認会計士としての視点で整理します。
- 相場が急落したタイミングで慌てて一括売却してしまう:一時的な下落で動揺して資産を一気に売ってしまうと、その後の回復局面の恩恵を受けられなくなります。取り崩しは、あらかじめ決めたペース・ルールに沿って、感情に左右されずに進めることが大切です。
- 生活防衛資金を確保しないまま取り崩し計画を立ててしまう:急な出費に備える生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分程度が目安とされます)を確保せずに取り崩し額を決めてしまうと、想定外の出費が発生した際に、相場が悪いタイミングでも売却せざるを得なくなることがあります。
- 「4%ルール」を万能の正解だと思い込み、自分の状況を確認せず機械的に適用する:4%ルールはあくまで過去の米国データに基づく一つの目安です。自分の資産配分や必要な生活費、リスク許容度を確認せずに数字だけを当てはめると、想定と違う結果になる可能性があります。
- NISA口座の損失を他の口座の利益と損益通算できると誤解する:前述のとおり、新NISA口座内の損益は税務上ないものとして扱われるため、他の口座との損益通算や繰越控除はできません。この点を誤解したまま売買のタイミングを判断しないよう注意しましょう。
- インフレ(物価上昇)を考慮せず、取り崩す金額を何年も固定してしまう:物価が上昇すると、同じ金額でも実質的に買えるものが減っていきます。取り崩し額は一度決めたら終わりにせず、物価の状況もふまえて定期的に見直すことが望ましいでしょう。
- 一度立てた出口戦略を、その後の状況の変化に合わせて見直さない:資産の増減やライフイベントの変化に応じて、取り崩し計画も柔軟に見直す必要があります。数年に一度は、当初の計画と実際の資産状況にズレが生じていないかを確認する機会を持つとよいでしょう。
まとめ:新NISAの出口戦略は「早めに考え始める」ことが大切
新NISAの取り崩し方・出口戦略について、本記事のポイントを整理します。
- 新NISAは非課税保有期間が無期限で、iDeCoのような年齢による引き出し制限もないため、「いつ・どう売るか」は自分自身で考える必要がある
- 売却した非課税枠(生涯投資枠)は取得価額(簿価)ベースで翌年以降に復活するが、年間投資枠はその年のうちには復活しない
- 取り崩す時期は「年齢」ではなく「使う目的・時期」から逆算し、近い将来使うお金は値動きの影響を抑えた資産に移していく
- 取り崩す順番には、値上がり資産から売る方法・一定割合ずつ機械的に売る方法などがあり、NISAには損出しの節税メリットがない点も踏まえて検討する
- 取り崩しペースは、決まった金額を売る「定額取り崩し」、残高に対する一定割合を売る「定率取り崩し」があり、「4%ルール」はあくまで参考値の一つとして捉える
- 下落局面に慌てないための「バケット戦略」や、証券会社の「定期売却サービス」を活用し、取り崩しを仕組み化するのも一つの方法
新NISAは「いつまでに売らなければならない」という制約がないからこそ、出口戦略を考えるタイミングに早すぎるということはありません。実際に取り崩しが必要になる時期がまだ先であっても、早いうちから考え方の土台を持っておくことで、いざというときに慌てず、落ち着いて資産と向き合えるはずです。
※本記事は一般的な情報を解説するものです。将来のリターンや取り崩し後の資産の推移を保証するものではなく、実際の投資判断は自己責任で行い、最新の制度内容は金融庁や各証券会社の公式情報をご確認ください。
【筆者プロフィール】現役監査法人勤務の公認会計士。CPAラボ(cpalabo.com)にて会計・簿記・キャリア・お金に関する情報を発信中。




