「今年こそ確定申告をe-Tax(イータックス)でやってみようと思うけど、何から準備すればいいのかわからない」「紙で書いて税務署に提出するのと、具体的に何が違うの?」「マイナンバーカードが必要って聞いたけど、それだけで足りるの?」――確定申告の時期が近づくと、こうした疑問を抱く方が増えます。

e-Taxとは、国税庁が提供する国税の申告・納税に関するオンラインサービスの名称です。自宅や外出先のパソコン・スマートフォンから所得税の確定申告書を作成し、税務署の窓口に行かずにインターネット経由でそのまま提出(送信)できる仕組みで、正式名称を「国税電子申告・納税システム」といいます。

この記事では公認会計士の視点から、e-Taxで確定申告をする具体的なメリット、事前に準備しておくもの、実際の申告のやり方までを、これまで紙で申告していた方や、確定申告そのものが初めてという方にもわかりやすく整理して解説します。

※本記事は令和7年分(2025年分)の確定申告(申告期間は令和8年2月16日〜3月16日)を念頭に、執筆時点の制度に基づいて解説しています。e-Taxの仕様や申告期間は年によって変わることがあるため、正確な内容は国税庁の公式サイト等の最新情報でご確認ください。


Contents
  1. e-Taxとは?確定申告のやり方は「書面」と「e-Tax」の2種類
  2. e-Taxで確定申告をする4つのメリット
  3. e-Taxを始める前に準備するもの
  4. ログイン方式は2種類、これから始めるなら「マイナンバーカード方式」
  5. e-Taxで確定申告をするやり方【5ステップ】
  6. 確定申告の期間はいつからいつまで?
  7. こんな方はe-Taxでの確定申告を検討しましょう
  8. よくある疑問
  9. まとめ

e-Taxとは?確定申告のやり方は「書面」と「e-Tax」の2種類

確定申告のやり方には、大きく分けて次の2つがあります。

  • 書面提出:申告書を紙で作成し、税務署の窓口へ持参するか、郵送で提出する方法
  • e-Tax(電子申告):申告書をオンラインで作成し、インターネット経由でそのまま税務署に送信する方法

どちらの方法で申告しても、税金の計算方法や納める税額そのものが変わるわけではありません。異なるのは「申告書をどうやって作成し、どうやって提出するか」という手続きの部分です。

e-Tax(電子申告)とは

e-Taxは国税庁が運営する電子申告システムで、所得税だけでなく消費税や贈与税の申告など幅広い国税の手続きに対応しています。利用は無料で、確定申告の時期以外にも、個人事業主が消費税の申告を行う際などに使われています。詳しいサービス内容は、以下の公式サイトで確認できます。

https://www.e-tax.nta.go.jp

書面提出との違い【比較表】

書面提出とe-Taxの主な違いを整理すると、次のようになります。

比較項目 書面提出 e-Tax(電子申告)
提出方法 税務署へ持参、または郵送 インターネット経由で送信
提出できる時間 税務署の開庁時間、または郵便の投函時間 原則24時間(確定申告期間中はメンテナンス時間を除きほぼ終日利用可能)
還付金が振り込まれるまでの期間 目安として1ヶ月〜1ヶ月半程度 目安として3週間程度
添付書類 源泉徴収票や控除証明書などを原本添付 一定の書類は記載内容の入力で提出を省略できる
主に必要なもの 申告書用紙、印鑑(認印)等 マイナンバーカード、読み取り機器等

還付金の振込時期はいずれも目安であり、申告内容の確認状況や時期によって前後することがあります。正確なスケジュールは国税庁の公式サイト等でご確認ください。

個人事業主だけでなく会社員も対象

「確定申告」と聞くと個人事業主だけの手続きと思われがちですが、医療費控除やふるさと納税などで還付を受けたい会社員も対象になります。e-Taxは個人事業主・会社員を問わず、基本的に同じ画面・同じ手順で利用できます。


e-Taxで確定申告をする4つのメリット

紙の申告書を提出する場合と比べて、e-Taxには主に次の4つのメリットがあります。

①税務署に行かなくても24時間近く手続きできる

確定申告期間中の税務署や申告会場は多くの人で混雑しやすく、平日に休みを取って並ぶのは負担が大きいものです。e-Taxであれば、自宅や職場からインターネット経由で申告書を作成・送信できるため、税務署の開庁時間を気にする必要がありません。確定申告期間中は、毎週月曜日未明のメンテナンス時間などを除き、ほぼ24時間いつでも利用できます。

②還付金の入金が書面提出より早い傾向にある

医療費控除やふるさと納税などで税金が還付される場合、e-Taxで申告すると還付金の処理は国税庁の目安で3週間程度とされています。書面提出の場合は1ヶ月〜1ヶ月半程度が目安とされており、一般的にはe-Taxのほうが早く手元に届く傾向にあります。ただし、これらはあくまで目安であり、訂正申告がある場合や申告内容に確認が必要な場合は、さらに時間がかかることがあります。

③添付書類の提出・持参を省略できる

書面提出の場合、源泉徴収票や生命保険料控除証明書といった書類の原本を申告書に添付する必要があります。e-Taxの場合、これらのうち一定の「第三者が作成した書類」は、記載内容を入力して送信すれば、税務署への提出や提示を省略できる制度があります。ただし省略した書類は自宅で5年間保管しておく必要があり、後日税務署から提示・提出を求められることもあるため、捨てずに保管しておきましょう。

④個人事業主は青色申告特別控除が65万円になる

個人事業主・フリーランスの方が青色申告をしている場合、e-Taxによる申告(または一定の要件を満たす電子帳簿保存)を行うことで、青色申告特別控除の金額が最大65万円になります。この65万円の控除を受けるには、複式簿記(ふくしきぼき、取引を体系的に記録する帳簿の付け方)による記帳、貸借対照表・損益計算書(事業の財産状況や1年間の利益を示す決算書類)の添付、期限内申告といった従来からの要件に加えて、e-Taxによる電子申告(または優良な電子帳簿の保存)が条件になっています。この要件を満たさない場合、控除額は55万円(または10万円)にとどまるため、青色申告をしている方にとってe-Taxは節税の観点からも重要な選択肢です。

なお、インボイス制度に対応して適格請求書発行事業者(課税事業者)になった個人事業主は、所得税だけでなく消費税の確定申告も必要になりますが、こちらもe-Taxで申告できます。インボイス制度の基本や登録の判断基準については、以下の記事で解説しています。


e-Taxを始める前に準備するもの

e-Taxを利用するために、事前に準備しておきたいものを整理します。

マイナンバーカード

これから初めてe-Taxを利用する場合、基本的にはマイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードには、本人確認のための「電子証明書」が搭載されており、これを使ってオンライン上で本人確認(電子署名)を行う仕組みになっています。マイナンバーカードをまだ持っていない場合、交付申請から受け取りまでに一定の期間がかかるため、確定申告の直前になって慌てないよう、早めに申請しておくと安心です。

マイナンバーカードを読み取る手段

マイナンバーカードの情報を読み取るには、次のいずれかが必要です。

  • マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン(対応状況は国税庁やマイナポータルの公式サイトで確認できます)
  • ICカードリーダライタ(パソコンで申告する場合に使う機器で、家電量販店やネット通販で購入できます)

パソコンから申告する場合でも、ICカードリーダライタの代わりに、対応するスマートフォンを読み取り機器として使うことができます。

2種類の暗証番号

マイナンバーカードには、用途の異なる2種類の電子証明書が搭載されており、それぞれにあらかじめ設定した暗証番号が必要です。

暗証番号の種類 桁数・形式 主な用途
利用者証明用電子証明書 数字4桁 マイナポータル・e-Taxへのログイン、本人確認
署名用電子証明書 英数字6〜16桁 申告データへの電子署名

これらの暗証番号は、マイナンバーカードの交付時に自分で設定したものです。長期間使っていないと忘れてしまうこともあるため、申告作業を始める前に思い出せるか確認しておきましょう。忘れてしまった場合は、市区町村の窓口で再設定の手続きが必要です。

メールアドレス

必須ではありませんが、メールアドレスを登録しておくと、還付金の処理状況が確認できるようになったタイミングなどにお知らせを受け取れるため、登録しておくと安心です。


ログイン方式は2種類、これから始めるなら「マイナンバーカード方式」

e-Taxの利用にあたっては、本人確認の方法として次の2つの方式が用意されています。

マイナンバーカード方式(現在の基本)

マイナンバーカードとその読み取り機器を使って本人確認を行う方式です。初めてe-Taxを利用する場合でも、事前に税務署へ「開始届出書」を提出する必要がなく、マイナポータル(政府が運営するオンラインサービス)と連携する形で、必要な利用者情報がオンライン上で自動的に登録されます。

ID・パスワード方式は新規発行が終了

以前は、税務署の窓口で本人確認を受けたうえで発行される「ID・パスワード方式」という、マイナンバーカードを使わない簡易な方式も用意されていました。しかし2025年10月1日以降、このID・パスワード方式の新規発行は停止されています。2025年9月以前にすでにID・パスワードの発行を受けている方は当面の間は引き続き利用できるとされていますが、これから初めてe-Taxを利用する方は、マイナンバーカード方式を使う必要があります。

マイナンバーカードのタッチが不要になる「スマホ用電子証明書」

マイナンバーカード方式には、実は2通りの読み取り方法があります。1つは、申告のたびにマイナンバーカードをICカードリーダライタや対応スマホにかざして読み取る、ここまで説明してきた基本の方法(「ICカードリーダー方式」と呼ばれることもあります)です。もう1つが、マイナンバーカードの電子証明書をあらかじめスマートフォン本体に登録しておく「スマホ用電子証明書」という比較的新しい方法です。

スマホ用電子証明書を使うと、申告のたびに物理的なマイナンバーカードをスマートフォンにかざす手間が省け、4桁の暗証番号の代わりに指紋・顔認証で本人確認できる場合もあります。利用にはマイナポータルアプリからの事前登録が必要で、対応状況はスマートフォンの機種・OSバージョンによって異なるため、利用したい場合は事前にマイナポータルアプリで確認しておきましょう。


e-Taxで確定申告をするやり方【5ステップ】

実際にe-Taxで確定申告をする流れを、5つのステップで解説します。ここでは、多くの方が利用する「確定申告書等作成コーナー」(国税庁が無料で提供する申告書作成サービス)を使う場合の流れを紹介します。

ステップ①マイナポータルアプリを準備する

スマートフォンやパソコンに、マイナンバーカードを読み取るための「マイナポータルアプリ」をインストールしておきます。あわせて、確定申告書等作成コーナーの画面から、申告する年分の「作成開始」を選び、提出方法として「マイナンバーカード方式」を選択します。

ステップ②マイナポータル連携で証明書などのデータを自動取得する

「マイナポータル連携」という機能を使うと、給与所得の源泉徴収票、公的年金等の源泉徴収票、医療費の通知情報、ふるさと納税の寄付金控除に関する証明書、生命保険料・地震保険料控除証明書、社会保険料(国民年金保険料等)控除証明書、iDeCo等の掛金控除証明書、住宅ローン控除関連の証明書、株式の特定口座年間取引報告書といった各種データを、まとめて自動取得し、申告書の該当欄に自動入力できます。すべての控除証明書がマイナポータル連携の対象になっているわけではないため、対象外の書類は手元の証明書を見ながら自分で入力します。

ステップ③確定申告書等作成コーナーで申告書を作成する

画面の案内に沿って、収入金額や所得控除の内容を入力していきます。マイナポータル連携で自動入力された項目は内容を確認し、手入力が必要な項目は控除証明書などを見ながら入力します。入力が終わると、納める税額または還付される税額が自動計算されて画面に表示されます。

ステップ④マイナンバーカードで電子署名して送信する

入力内容を確認したら、マイナンバーカードを読み取り機器にかざし(またはスマホ用電子証明書を使い)、署名用電子証明書の暗証番号を入力して電子署名を行います。そのまま送信ボタンを押せば、税務署への提出は完了です。

ステップ⑤送信結果を確認し、必要書類を保管する

送信が完了すると、受付結果(受信通知)を確認できます。念のため、申告書の控えをPDF等で保存しておきましょう。また、e-Taxで提出を省略した添付書類は、自宅で5年間保管しておく必要があります。


確定申告の期間はいつからいつまで?

確定申告の受付期間は、原則として例年2月中旬から3月中旬までです。令和7年分(2025年分)の所得税の確定申告については、令和8年2月16日(月)から3月16日(月)までが受付期間とされています。

なお、給与や年金からの源泉徴収税額が納めすぎになっていて還付を受けるための「還付申告」は、この受付期間を待たずに、申告する年の翌年1月1日から提出することができます。医療費控除やふるさと納税による還付だけが目的の場合は、確定申告期間の混雑を避けて、1月のうちに早めにe-Taxで済ませてしまうのも一つの方法です。還付申告は、対象となる年の翌年から5年以内であれば提出できます。

正確な申告期間や最新のスケジュールは、毎年国税庁から発表されるため、以下の公式サイトで確認しておきましょう。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/index.htm


こんな方はe-Taxでの確定申告を検討しましょう

最後に、e-Taxでの確定申告を特に検討する価値が高い3つのケースを紹介します。

年末調整だけでは控除しきれない会社員

会社員の方は通常、勤務先の年末調整だけで所得税の手続きが完結しますが、医療費控除や、ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)など、年末調整では対応できない控除を受けたい場合は、確定申告が別途必要になります。年末調整で対応できる範囲や、年末調整と確定申告の違いについては、以下の記事で詳しく整理しています。

ふるさと納税でワンストップ特例が使えなかった人

ふるさと納税のワンストップ特例制度(確定申告をしなくても寄付先への申請だけで控除が受けられる制度)は、寄付先が年間6自治体以上になった場合や、申請期限(寄付した翌年1月10日必着)に間に合わなかった場合には利用できず、代わりに確定申告が必要になります。ふるさと納税の基本的な仕組みや、ワンストップ特例と確定申告の使い分けについては、以下の記事もあわせてご確認ください。

副業がある会社員・個人事業主

副業などの所得(給与以外の雑所得・事業所得等)が年20万円を超える会社員は、年末調整だけでは手続きが完結せず確定申告が必要です。個人事業主・フリーランスの方も、青色申告であればe-Taxを使うことで65万円の青色申告特別控除を受けられる点は前述のとおりです。収入源が複数ある方ほど、書面より入力・計算の手間を減らせるe-Taxのメリットを感じやすいでしょう。


よくある疑問

Q. マイナンバーカードを持っていない場合はどうすればいいですか? マイナンバーカード方式のe-Taxは利用できないため、書面で申告するか、2025年9月以前にID・パスワード方式の発行を受けている場合はその方式でe-Taxを利用することになります。今後もe-Taxを使いたい場合は、確定申告の時期になってから慌てないよう、早めにマイナンバーカードを申請しておくことをおすすめします。

Q. スマートフォンだけで手続きは完結しますか? 確定申告書等作成コーナーはスマートフォンに対応しており、給与所得や公的年金等の申告に加えて、事業所得や不動産所得、医療費控除、ふるさと納税による寄附金控除など、幅広い所得・控除の申告がスマートフォンから可能です。マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンであれば、パソコンやICカードリーダライタがなくても手続きを完結できます。

Q. 送信後に入力ミスに気づいたらどうすればいいですか? 確定申告期間内であれば、正しい内容で申告書を作成し直して再送信すれば、一般的には後から送信したものが有効な申告として扱われます。期間が過ぎてから誤りに気づいた場合は、「更正の請求」(納めすぎた税金の還付を求める手続き)や「修正申告」(納税額が不足していた場合の手続き)など、別の手続きが必要になることがあるため、早めに税務署へ相談しましょう。

Q. 締め切りに間に合わなかったらどうなりますか? 納税が必要な申告の場合、期限後申告として加算税・延滞税が発生する可能性があります。一方、還付を受けるためだけの申告(還付申告)は、対象となる年の翌年から5年以内であれば提出できます。いずれの場合も、気づいた時点で早めに手続きすることが大切です。


まとめ

e-Taxで確定申告をする際のポイントを整理します。

ステップ やること
①準備 マイナンバーカード、読み取り機器(スマホ・ICカードリーダライタ)、2種類の暗証番号を用意する
②方式選択 これから始めるなら「マイナンバーカード方式」を選ぶ
③データ取得 マイナポータル連携で源泉徴収票・控除証明書等を自動取得する
④申告書作成 確定申告書等作成コーナーで画面の案内に沿って入力する
⑤送信 マイナンバーカードで電子署名し、そのまま税務署へ送信する

e-Taxは、税務署に行かずに自宅から確定申告を完結でき、還付金の入金も書面提出より早い傾向にあるなど、初めての方にもメリットの大きい仕組みです。最初の準備(マイナンバーカードと暗証番号の確認)さえ済ませてしまえば、あとは画面の案内に沿って入力していくだけなので、紙の申告書に手書きするよりもかえって手間が少なく感じる方も多いはずです。この記事を参考に、ぜひ今年の確定申告からe-Taxを試してみてください。


※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。e-Taxの仕様・確定申告の期間や手続きの詳細は、国税庁の公式サイトや税務署でご確認ください。

【筆者プロフィール】現役監査法人勤務の公認会計士。CPAラボ(cpalabo.com)にて会計・簿記・キャリア・お金に関する情報を発信中。